日本国の機能不全と労働者の軽視。臨時国会における入管法改正の審議を振り返る

賛成討論すらない国会

 山井和則議員に野次を飛ばしていた自民党は、今回どのようにこの移民法を主張していたのか。本会議における平沢勝栄議員の賛成討論は下記になる。 “技能実習生の労働環境などに一部問題があることは事実ですが、ほとんどの技能実習生は真摯に実習に取り組み、制度が適切に運用されているのが実態であります。このことは、ベトナムやインドネシアなど、多くの国から技能実習制度が高く評価されていることからもうかがえるところであります。  一部の野党による、改正案審議の前提が崩れたなどとの指摘は、全く見当違いと言わざるを得ません。  現下の深刻な人手不足への対策は待ったなしの状況にあり、法務委員会では、制度の必要性、受入れ業種とその見込み数、特定技能の要件、技能実習制度との関係などについて、参考人質疑も行いつつ、必要な審議を行ってきました。  新たな制度に対する懸念についても質疑がなされ、今回の受入れによって日本人の雇用や治安に影響を与えないという点についても丁寧な説明が行われたところであります。” 平成30年11月27日 衆議院本会議 平沢勝栄議員  このように、人手不足は地元にとって重要な議題である、という論拠を一貫して主張してきた。  これは、もちろんある意味では事実だろう。すでに日本という国は、日本籍を持たない外国出身者による労働力がなければ機能しない。  だからこそ、外国出身者に対しても、日本で働くにあたり、十分に人権が守られるべき制度運用がなされるべきなのではないか。  高橋まつりさんの死から一年が経ち、お母様が手記を公表された。しかし、状況はさらに悪化しているようにすら見える。 <文/平河エリ@読む国会 Twitter ID:@yomu_kokkai) ひらかわえり●国会をわかりやすく解説するメディア「読む国会」を運営する政治ブロガー。
Twitter ID:@yomu_kokkai ひらかわえり●国会をわかりやすく解説するメディア「読む国会」を運営する政治ブロガー。
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