独占欲はエネルギーを産むが、仕事のモチベーションにはならない
このありふれた感覚をもっている女性は、愛人に向きません。愛人ビジネスをいち早くスケールさせるには、数名の富裕層と交際する必要がありますが、彼らには漏れなく奥様がいます。奥さんだけでなく、嫡出子や親戚など、結婚しなければ手に入らない血縁関係に守られている。お金持ちの男性なら、言い寄る女性も多いでしょう。
そんな1人の男性を独占しようと頑張るのは、予想以上に多くのエネルギーを必要とします。恋する女性が放つ、異様な熱量の多さは、相手を独占したいという思いの強さです。彼女たちは「一対一の関係」を求めるあまり、「不倫してはいけない」という社会的なルールすら忘れてしまうことがあるのです。
私はこのルールを忘れることがありません。不倫はいけないことだからこそ、リスクが「痛み分け」でなければやる意味がありませんし、無料で不倫するなんて信じられないのです。これが私の考える「愛人」です。
既婚者と交際する場合、独身者は相手の配偶者から訴えられるおそれがありますし、結婚制度に守られた奥様と比べて何の保障もない生活を送らなくてはいけないため、少なくともその分くらいは相手に負担してもらう必要があるでしょう。立場の不平等を、金銭面の援助で解決するということですね。
無料で不倫している私の友人はきっと、「恋愛がしたい」のだと思います。恋愛したいだけならば、いくらでも無料で不倫すればいいのです。
が、私はそうではなく、「仕事がしたい」。もともと仕事がしたいのであって、恋愛がしたいのではありません。だから、仕事で恋愛ができるのです。これが愛人ビジネスです。もちろん“ブラック労働”には耐えられませんが、取引先(交際相手)の理不尽な要求にも我慢できる範囲で付き合います。それは利益が発生するからです。
きっと愛人業をやめても、私はまた新しいビジネスに手を出すでしょう。そのくらいのレベルで、私にとって愛人業は仕事の一種でしかありません。恋愛が好きなのではなく、仕事が好き。こういう女性のほうが、愛人には向いていると思います。
<文・東條才子>