映画『暁に祈れ』に出演した本物のタイ人元受刑者が語った刑務所暮らしと出所後の生活

高田胤臣
鉄格子がはめられた面会所

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 タイは世界中の人々から好まれる人気観光国だ。治安もよく、物価も安い。タイ人も優しく、多くの観光客はいい思い出を胸に帰国の途につく。  しかし、現実的にはタイは物価は上昇し続けていて、かつてほど物価安という印象を持つことはない。飲食店やバーでも10年前と比較すれば倍近くも価格設定が高くなっている。また、治安がいいというのはあくまでも外国人が訪れるエリアに限られた話で、タイは昔から日本よりも殺人認知件数が多い。  タイの統計局の資料によれば、2015年度のタイにおける殺人認知件数は2228件だ。2006年は4687件で、かなり減ってはいる。しかし、日本の警視庁が発表する犯罪統計では2015年の殺人認知件数は933件しかない。件数では2.4倍に過ぎないが、人口がタイは半分なので、人口比率でいえば実に5倍近い殺人事件の発生率になる。  しかも、現在タイは不況ど真ん中と言われる。賑やかで明るいので、一見好景気に見えるのだが、失業率もかつては0.7%程度だったものが徐々に悪化し、今は1%になっている。それでもまだ日本より数値はいいが。  長年住んでいる筆者から見れば、2018年に入ってから特にバンコクの雰囲気が悪くなったと感じる。不穏な空気が流れているのだ。バンコクでは外国人が強盗に狙われることはあまりなかったが、2018年は久々に日本人の強盗被害も発生した。  タイの警察事情に詳しい人物に話を聞くと、タイの刑務所は今は定員オーバーの状態で、被疑者らは裁判が終わっても送り込める刑務所がなく、拘置所内で待機しているという。  そんなタイであるが、かといって元受刑者とそうそう話す機会はない。今回、そういったチャンスが与えられたので、早速タイの元犯罪者たちに話を聞いた。
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「カネで人を殺した」元ムエタイ選手
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