強制執行では動産はすべて搬出され、執行業者が一定期間保管する。期間内ならば買い戻せるが、実際に取りにくるのはごくわずかだ
’19年10月の消費税増税は、新たな下流社会の幕明け―。賃金が一向に上がらないままでの増税は、消費が確実に低迷し、企業の収益や税収が悪化、賃金はより下降して、本格的な“デフレ”の再来が懸念されている。さらに外国人受け入れ問題、急速に活用が進むAI(人工知能)など、誰もが当事者たり得る“下流転落の火種”が忍び寄る。僕らの未来にあるのは希望か絶望か。
新築のマイホーム購入から5年。差し押さえで家主は絶望
住宅ローン滞納は全国で39万件もあり、近年では4万5000件も増加(金融庁発表)。経済アナリストの中原圭介氏は「今後はもっと増える可能性が高い」と語る。
「低金利で借りやすかった時代は、あと2~3年で終わってしまい、金利は上がります。当然、変動金利で目いっぱい借りていたら、支払いも月数万円は上がってしまう。滞納から、破産するパターンも増えそうです」
そうなれば、住居の差し押さえ「強制執行」の増加は確実である。執行補助業務を営む関口さん(仮名・58歳)も、「強制執行を行う業者数は年々増加中」と語り、多くの企業がきたる冬の時代を見越していると教えてくれた。
だからといって、今の金利でも破産する人は多い。実際、住宅ローン滞納による強制執行は今も盛んに行われているのが実情だ。