2018年の遊技機の販売台数はおおよそ以下の通り。
まずはパチンコ。今年1年間の販売台数は約130万台。日本全国のパチンコ機の設置台数は約275万台であるから、約半分が入れ替えられた計算になるが、実は昨年に比べて、その販売台数は10万台以上減少している。
パチスロは更に深刻だ。パチスロのこの1年間の販売台数は、約35万台。パチスロの全国設置台数は約170万台。ほぼ2割しか入れ替えが行われていないという事になる。
ちなみにパチスロの昨年の販売台数は75万台を超えているので、昨年比でも50%以上もパチンコホールの購入台数が減っていることになる。
新台だけでも、昨年比で年間約50万台の買い控え。価格換算すれば、業界全体で2000億円もの「コストダウン」となる。
要は、2018年はパチンコ店が遊技機の購入を大幅に控えたので、遊技客の減少により売上がダウンしたにも関わらず、大きな利益を確保できたというのが「減収増益」の実情である。
この1年間の「買い控え」で、パチンコ店が明確に認識したことがある。それは、「新台入替」というパチンコ店の長きに渡る一大イベントが、集客コンテンツとしての力を失っているということだ。
勿論、「新台入替」は定期的に行っており、その都度、チラシやweb媒体における広告宣伝は行ってはいるが、店側が思っているほど、遊技客は「新台入替」に期待をしていない。
遊技機の価格が高騰するなか、人気台になるのか不人気台なのかの判別もつかない新台の償却を優先させようとする、近年の店側のやり方に遊技客らも気付いているからだ。だから、新台設置の1週間はある程度の客は座るが、2週目以降は「通路」と化すこともよくある話。
パチンコ店はどこかで「新台神話」に執着していた。客が来ないのは新台を入れないからだ。新台を入れれば客は来てくれる。裏を返せば、それ以外にやり方が無かったとも言えるのだが、とにかく、パチンコ店は遊技機の購入に多くのコストを割いていた。だが、この1年間の「減収増益」が、それを見事に覆した。
問題はこれからだ。
2019年は、高射幸性パチスロ遊技機の撤去や、パチンコ禁煙化に関わる喫煙所の設置等、大きな設備投資が予測されている。また消費税の増税に関わる費用も発生する。今年、確保した利益を、来年の投資として留保しておくのか、利益の一部でも、パチンコ店における最大の集客ツールである「出玉」に上乗せ還元していくのか。
パチンコ業界が設置産業である事が変わることはないが、営業の在り様は今後大きく変わるかも知れない。
<文・安達 夕
@yuu_adachi>