《このままでは美容整形の顧客が海外に流れていく可能性も……》中国、韓国も含め世界の美容医療は「安くて技術が高い」が主流になりつつあるという
「ここ数年、30~40代男性の美容医療の利用率が飛躍的に高まってきています。その理由は、これまでの美容医療に伴うマイナスなイメージが好転し始めているからでしょう。だからこそ、日本の美容医療の価格が高すぎる、というのが残念でなりません」
こう話すのは、東京美容医療クリニックの院長を務める高尚威氏だ。高氏のクリニックは、安価な価格設定で、人気を博している。日本の美容医療には構造的な問題が山積みであると高氏は続ける。
「世間の認識が変わっても、業界で働く医師達は変わらないんです。
今の世界のスタンダートでいえば、“安くて質が良い”のが当たり前となりつつあります。韓国はその最たる例で、ヨーロッパも同様。中国でも、全体の産業の中で美容業界の市場規模は国内でトップ5に入るほどで、業界の質も年々高くなっています。日本のいわゆる、“偉い先生たち”は、『韓国や海外は質が悪い』と言いますが全くそんなことはない。逆にいえば、日本があぐらをかいてこのままの価格設定でいれば、どんどん世界的な基準から取り残されるでしょう」
世界規模の美容学会「IMCAS」のデータによれば、美容整形の世界市場は’16年に前年比8.3%成長し、約1兆円に達したという。また、’20年には1兆4500億円近くに拡大することも見込まれている。特に成長著しいエリアがアジアでもある。今後4年で12%と最も急速な成長が見込まれているとの発表もあり、’20年には欧州を抜き、市場規模は世界全体の4分の1に相当する3700億円に届くことが見込まれているのだ。
「世界の基準からいえば、日本は大きく水を開けられています。端的にいえば、値段が高すぎるんです。韓国やヨーロッパといった美容医療の先進国と比較すれば、日本の価格帯は倍近い。これでは、潜在的な顧客層も、他国に流れても仕方ありません」