株式税制の大きな特徴の一つは、売却益は課税されますが、逆に売却損(キャピタルロス)を出した場合は、税額還付されることです。現物取引にしても信用取引にしても、安値で買ったつもりが現実には高値買いになってしまい、損失を抱えてしまうケースが起こります。現物の場合は、将来の値上がりを期待して、余裕があれば1年でも2年でも持ち続けることができますが、信用取引では6か月以内に清算しなければなりません。
すでに説明したように、現行の証券取引で配当金・譲渡益については20%の税金がかかります。逆に赤字(損失)を出した場合には20%の税額還付があります。もっとも税額還付が受けられる限度は、すでに納入した税額の範囲内です。大幅な赤字を出し、納税額を上回る場合は、上回った分の赤字に税額還付はありません。
とはいえ、税額還付は失敗を緩和してくれる大きな戦力です。私は、数年前にがん治療のためのワクチン開発に乗り出したベンチャー企業(ジャスダック上場)の株式を現物購入しました。具体的には株価約2000円の同社株1000株を購入しました。投資金額は200万円です。
それが数年後に約500円まで下落してしまったのです。売却すれば150万円の赤字です。現物なので値上がりするまで持ち続けても構いませんが、この時は「将来の見込みなし」と判断し、売却することにしました。
売却代金はわずか50万円です。しかし損失額150万円の20%、30万円が税額還付として戻ってきました。私の実際の損失は150万円ではなく、売却額と税額還付を合わせると80万円になります。従って私の損失は120万円で済んだことになります。大損でしたが、税額還付はせめてもの慰めになりました。