ベネズエラにロシアの軍事基地建設が決定。不意を打たれた米国

白石和幸

不意を打たれた米国

 米国にとって今回のロシアの軍事基地設置の発表は不意を打たれた感じであろう。  アルゼンチン出身で米国で活躍しているジャーナリストのアンドレス・オペンハイマーがコロンビア紙『El Colombiano』(2018年5月23日付け)に興味あるコメントを掲載している。それによると、トランプ大統領はマドゥロ政権を打倒すべく軍事クーデターを望んでいるが、専門家の間では一旦クーデターが起きても、それはよりロシアに靡くか、中国に靡くことになって、米国が望んでいるような体制にはならないと予測しているというのである。  その理由は、この20年余り米国はベネズエラの軍部との接触は僅かしかなく、彼らの軍事訓練もロシアか中国での経験しかないとしている。しかも、兵器もロシア製か中国製で占められていると指摘している。  ロシアそして中国も米国がベネズエラの現体制を打倒するために何かをして来るのが次第に迫っていると感じており、仮に米国寄りの政権が誕生するようになると、ロシアも中国も利権を失うことになるということを警戒している。寧ろ、<ロシアまたは中国はクーデターを起こして、マドゥロ現体制を打倒すれば両国に石油開発の利権がより舞い込んで来る>と考えていることを数人の専門家が指摘しているのをオペンハイマーは言及している。  その意味でもロシアが今回軍事基地の建設を発表したのは、米国の侵攻を抑える意味と将来的には必要とあらばマドゥロ政権を打倒して新たにロシア寄りの政権を誕生させることを狙ってのことであるということなのである。  ロシアの将来的な考えはさておき、マドゥロ大統領にとってロシア軍の今回の登場は、コロンビア、ブラジル、米国が彼を暗殺しようという陰謀を牽制するものとマドゥロは受け止めているのか、彼は<「この6年間の政権でこれが50回目の陰謀だ」>と訴えた。  ロシア軍の到着に対して国境を接するコロンビアのイヴァン・ドゥケ大統領はロシアの戦闘機の飛来に懸念を表明し、<「ベネズエラのこのような挑発行為は許されない」>と表明し、<「コロンビアに対する敵対的行為だけに収まるのではなく、地域全域に対するものだ。この種の演習は賢明ではない」>と述べた。(参照:『Diario de Cuba』)  カラカスからワシントンまでの直線距離にして僅か3700キロである。ベネズエラにロシアの軍事基地が存在するようになると米国にとって脅威となるのは確かである。 <文/白石和幸 photo via Kremlin.ru (CC BY 4.0) > しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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