今回のG20では、RICの会談とは別に、ブラジルと南アも含めたBRICS首脳会議も開かれた。この席でブラジルのテメル大統領は世界貿易機関(WTO)の役目を見直すべきだとし、また保護主義や孤立主義に対して挑むことを要請した。(参照:「
Clarin」)
テメル大統領のBRICSへの出席は今回が最後であった。次回から極右のボルソナロが出席することになるが、親米派を誓うボルソナロが今後もブラジルをBRICSの加盟国として継続させるのか疑問だとされている。仮に、離脱(Braxit)するとしても即座の離脱は不可能と見られている。
米国はボルソナロが大統領になるブラジルに強い関心をもっており、11月29日にはトランプ大統領の補佐官ジョン・ボルトンがG20に向かう途中わざわざリオデジャネイロを訪れてボルソナロと1時間余り会談したほどである。この会談で中心となったテーマはキューバのことだというが、ブラジルと米国の双方の接近がより強められて行くことは確かである。(参照:「
Marti」)
その一方で、ブラジルはラテンアメリカで中国が最も多く投資している国である。ボルソナロの登場によって米国はブラジルにおける中国の影響力を後退させる良い機会だと見ている。これからボルソナロは自国の発展に中国そして米国の2か国の間でバランスを取って行かねばならなくなる。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身