den-sen / PIXTA(ピクスタ)
安倍政権が「働き方改革実現推進室」を設置したのが、2016年9月。
「働き方改革」の取り組みを提唱したため、2017年度には「働き方改革」は、「流行語大賞」の候補にまでなった。
しかし、言葉ばかりが一人歩きをし「実感として何も変わっていない」「むしろ残業するな、有給を取れと言われ、忙しさが増した」という人も多いのではないだろうか。
そんな中「労働時間をうんと減らしながら生産性をアップして、仕事の満足度も驚くほど高める方法がある」と言うのが、人事戦略デザイナーの山極毅氏だ。
山極氏は現在、株式会社経営人事パートナーズを運営。サントリー食品インターナショナル、日本郵便、太陽工業など、大手企業をクライアントとして、人事のコンサルティング業務を行っている。山極氏は、前職での経験で「収益のカギを握るのは人事だ」と確信し、51歳にして人事部長の職を辞して独立するに至ったという。
そんな山極氏は、「日本で“働き方改革”がなかなか進まない大きな理由の一つが、成果主義型の人事評価制度のせい」だと言う。
代表的な人事評価制度の一つである「コンピテンー評価」は、業務を遂行する能力が高い人の行動特性を分析するものだ。
このコンピテンシー評価について、彼は「これはつまり、過去にうまくいったことを再現しようとしているもの」と評する。
「高度成長期には、前例を踏襲し、同じことをより効率的に行えばよかった。でも今の時代は、これまでと同じことを効率的に行うよりも、新しい付加価値を生み出すことのほうが大切です。そんな時代に過去の成功例にあてはめて評価しても、生産性は上がりません」
また、人事評価を行うためには膨大な時間とリソースが必要だ。「課長1人に部下が5人いる1000人規模の会社」では、人事評価にかかる総投資金額は、なんと年間6億8千700万円にものぼると言うから驚きだ。
「それだけの時間とお金をかけても、評価されるほうからすれば、“結局、好き嫌いで評価されている”、“結果がどのように給与に反映されているかわからず不透明”と、極めて不評なのです」