キューバとブラジル・ボルソナロ次期大統領、早くも火花。キューバは派遣医師団引き揚げを決定

白石和幸

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※写真はイメージです photo by DarkoStojanovic via pixabay(CC0 Public Domain)

極右大統領就任のブラジルからキューバが医療団撤退へ

 キューバの重要な外貨獲得源となっているのは、医師と看護師の外国への派遣であることは以前もお伝えした。そしてその一番重要な国(顧客)はベネズエラとブラジルである。

 ところが、来年1月からブラジルは極右ジャイル・ボルソナロが大統領に就任することになったことを受けて、キューバ政府は11月14日、ジルマ・ルセフ前大領領政権下の2013年から実施されていたブラジルへの医療団の派遣を中止することを発表したのである。

 現在、ブラジルには8332人のキューバ人医師が医療活動をしているという。彼らが12月末までにブラジルを引き揚げてキューバに戻るというのである。実際、その第一陣196人の医師が11月15日にキューバに戻って来た。空港ではレグラ・アングロ公衆衛生副大臣が彼らを出迎えた。キューバ政府はボルソナロが大統領に就任する来年1月1日までにはブラジルからすべての医療団を引き揚げるとしている。(参照:「El Espanol」、「ON Cuba news」)

 この引き揚げでキューバ政府は、年間3億3000万ドルから4億5100万ドル(360億円から500億円)の歳入減になるという。ちなみに、キューバ政府は医療団の世界への派遣で、年間115億ドル(1兆2650億円)の歳入を得ていると見られている。(参照:「El Nuevo Herald」、「El Mundo」)

ボルソナロによるキューバ医師団への侮辱

 キューバ政府が今回の決定を下した背景には、彼らのプライドを傷つけられたということと、ボルソナロが望んでいるキューバ人医師への待遇にキューバ政府は同意できないのが明白だからである。

 ボルソナロは大統領選挙戦中からキューバから派遣された医師が本当に医師としての資格を持っているのか疑問だとして、ブラジルの医師認定のパスを受けることを指摘していた。

 それに対して、キューバ政府は自国の医師の医師としての品格、プロ精神そして利他心に疑いをもたれることは受け入れることができないとした。2013年からブラジルでキューバ人医師が医療活動をするようになってから延べ1億1300万人の患者を2万人以上のキューバ人医師が3600か所の診療所で診察して来たという実績があるということ。しかも、過疎地域の700以上の自治体ではそれまで医師は存在していなかったのが、キューバ人医師が派遣されるようになってからこれらの自治体でも初めて診療ができるようになったという。(参照:「El Espanol」、「La Vanguardia」)

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キューバ医師団には「甘い提案」!?
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