融和ムードの南北朝鮮が再び大揉め。きっかけは「冷麺」

安達夕

冷麺

※写真はイメージです june. / PIXTA(ピクスタ)

 9月に北朝鮮の平壌で行われた南北首脳会談において、北朝鮮の対韓国窓口機関である、祖国平和統一委員会の李善権(リ・ソングォン)委員長の侮辱ともとられかねない発言が相次いだことが発覚し、韓国で問題視されている。

 報道によると、9月に行われた南北首脳会談で文在寅大統領の特別随行員として訪朝した韓国大手企業のトップらが、平壌の有名レストラン・玉流館で冷麺を食べていたところ、祖国平和統一委員会の李善権委員長が現れ、「冷麺が、のどを通りますか?」と話しかけた。

 これは、「冷麺がお口に合いますか?」とゲスト側を気遣っている言葉ではない。韓国で「のどを通りますか?」という言葉は、「(こんな時に)よくのうのうと食べていられますね」と皮肉を込めた意味合いで使われるのだ。

 李善権委員長は韓国の財閥のトップたちに対して、「南北の経済交流がなかなか進まない中で、よくもまあ悠長に冷麺なんて食べていられますね」と皮肉を言ったのである。その場に居合わせた関係者らは凍りつき、気まずい空気が流れたという。

 ほかにも、韓国の統一部長官が遅刻した際、「時計が壊れてしまったみたいです。これは、急いでいい時計を買わないと」と気まずそうにする弁解する長官の言葉を聞いた李善権委員長は、「車が運転する人と同じ動きをするように、時計もまた、その持ち主に似てくると言いますしね」と皮肉をいったことが明らかになっている。

 当初、問題となったのは、当然北朝鮮側の無礼な言動に対してである。韓国側を見下し侮辱している態度によって、南北融和ムードは一変し兼ねない。

 しかし、最近さらに韓国内で波紋を広げているのは、これに対する韓国政府側の対応だ。

 先月29日、国会外交統一委員会の統一部趙明均(チョウ・ミョンギュン)長官は、「似たような話の報告をすでに受けた。遺憾に思う」と述べた。

 しかし、与党である「共に民主党」議員の院内代表をつとめる洪永杓(ホン・ヨンピョ)議員は、「数名の財閥のトップに直接聞いてみたが、そんなことはなかったといっていた」と事実を完全否定。

 その3日後には、趙長官が自身の発言をガラリと変えた。

「私はその場にいなかったので、似たような話をまた聞きしたにすぎない。正式な報告は受けていないので、事実関係の真偽はわからない」

 これに対し野党は、文大統領と与党が南北融和ムードに世論が反対することをおそれ、財閥側と統一部長官に口封じをしていると主張。李善権委員長の発言の真偽は定かではないまま、与野党の攻防が続いている。

次のページ 
韓国議員が反発「冷麺? のどを通りますが何か」
1
2
4
5
関連記事
6
7