「第二の根源」は、本年2月のピョンチャン五輪での安倍首相の発言だ。韓国の文在寅大統領が北朝鮮の金与正との会談で朝鮮半島の平和と統一への道を必死に模索しているときに、同大統領と会談した安倍首相は「五輪が終わったら米韓軍事演習を再開してほしい」と発言した。同大統領は直ちに「これは韓国の主権の問題だ」と突っぱねたが、安倍首相の発言は「平和を望む韓国の主権を踏みにじる発言」として韓国政府は2回も公表し、マスコミも安倍批判を強めた。
「第三の根源」は「日本政府は南北朝鮮の停戦を望んでいない」と報ぜられたことだ(東京新聞、2018年9月24日)。韓国と北朝鮮は終戦宣言に積極的である。トランプは「戦争ゲームは止めよう」と宣言し、北朝鮮の核を削減させたうえで休戦を考えていると見られる。朝鮮半島の平和を望んでいないのは安倍首相だけではないのか。
安倍首相の韓国に対する政治姿勢は世界の潮流に反し、日本を孤立させる危険な外交である。
<文/菊池英博>
エコノミスト。東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)を経て1995年文京女子大学教授に。現在は日本金融財政研究所所長
提供元/月刊日本編集部
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