独立100周年でポーランドに極右団体が集結。ポーランドが右傾化する背景

平井ナタリア恵美
 日本ではポッキーの日として話題になっていた、11月11日。日本から飛行機で約10時間の距離にあるポーランドでは、歴史的な祝日が盛大に祝われていた。100回目の独立記念日だ。100年前のこの日、ポーランドはロシア、ドイツ、オーストリア=ハンガリー帝国の支配から主権を回復した。しかし、そんな輝かしい一日には、大きな影もつきまとっていた。

EU旗を燃やす極右団体も

ワルシャワ市にある文化宮殿。冷戦時代を彷彿とさせるという厳しい声も

 ポーランドでは毎年、独立記念日に各都市で大行進が行われるほか、マラソン大会などの各種イベントが開催されている。日本でも、100周年を記念して世界一周航海を行っているポーランドの帆船「ダル・ムウォジェジ」が大阪港に寄港し、歓迎式典が行われた。また、東京でも小規模だが在日ポーランド人によるマラソン大会が開かれている。  首都ワルシャワでは今年、20万人以上がポーランド国旗や発煙筒を片手に行進に参加し、街が赤く染まった。行進はアンジェイ・ドゥダ大統領が主導し、街全体が祝福ムードに包まれた。  しかし、不穏な空気がなかったわけではない。独立記念日の大行進では毎年、国家主義を掲げる極右団体「ナショナル・ラディカル・キャンプ(ONR)」も参加しており、暴力行為に発展することも多い。今年、ワルシャワ市は極右団体の行進参加を認めないと発表していたが、裁判所が行進の禁止を撤回したため、行進は緊迫感を伴うものとなった。行進に参加した極右系ファシスト団体の全ポーランド青年団(Młodzież Wszechpolska)は、ツイッターにEU旗を燃やす写真を投稿し、反EUの意思をあらわにした。現在、警察が犯人を捜索する事態となっている。  またONRがイタリアの極右政党「新しき力(FN)」を招き入れ、共に行進していたことも物議を醸した。ドゥダ大統領は「喜びに満ちた記念式典にしたい」と呼びかけたが、必ずしも皆に聞き入れられたわけではなかったようだ。

懸念されるポーランドの右傾化

 ポーランドは3年前に保守政党「法と正義(PiS)」が政権について以来、右傾化が進んでいる。「法と正義」は司法やメディアに介入する強権的な政策を進めており、ポーランド国内で反EU派が増加しているため、EU内でも懸念が広がっている。9月にはEUの欧州委員会が、ポーランドの司法介入は司法の独立を侵害するとしてEU司法裁判所に提訴することを決めるなど、溝は深まるばかりだ。  右傾化の大きなきっかけとなったのは’15年頃のヨーロッパにおけるシリア難民危機だったが、本質的な原因は経済格差やEUに対する不満だ。ポーランドは’04年にEUに加盟したが、物資が多く流入し、物価は上がったいっぽうで、平均賃金は未だに西欧の半分程度にしかなっていない。また、EUの厳しい基準に準じるため、農業や工業など各産業界で不満が生じている。そのなかで愛国主義の高まりが顕著になってきているのだ。
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国民の分断を象徴する写真がSNSで話題に
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