ゲストラッパーを増やすなど、会場の規模に合わせた対応を行った
また18章では、漢 a.k.a. GAMI、呂布カルマ、サイプレス上野、輪入道、ERONEら豪華なゲストバトラーを16人用意。彼らがベスト32から登場する計48人のトーナメント形式にして、より観客が盛り上がりやすい状況を作った。さらに、出場するラッパーが万全の状態でバトルに臨めるような工夫もしたという。
「会場のZeppダイバーシティは控室が小さいんですが、無理やり部屋を7つにわけました。理由は、1回戦で当たるラッパー同士が同じ控室にならないようにするため。最近、MCバトルに出場するラッパーからは、『控室がほかのラッパーと一緒だと、メンタルが保てない』という話をよく聞くんです。理想は一人一人別の部屋にすることですけど、流石にそれは難しいので、せめて1回戦の相手とだけは当たらないように考えて振りわけました」
出演者が最高のコンディションで挑める環境を作ることも大切だ
出場するラッパーが「試合前のメンタルの維持」まで気にかけるようになったのも、以前は身内を中心に楽しむものだったMCバトルが本気の大会となり、出場者のプロ意識が高まったためだろう。また、バトルで用いるビートについても工夫したという。
「18章ではDJに自分のビートを持ってきてもらって、それをかけてもらう形を増やしました。自分のビートだとDJもより気合が入るので、自然と会場も盛り上がるんですよね」
イベントの規模が大きくなれば、観客からも出演者からも新たな不満が出てきやすくなる。そういった声に耳を傾け、規模に応じたマイナーチェンジを繰り返していくことも主催者には必要といえるだろう。イベントが成長し続けるかぎり、主催者もまた成長が求められるのだ。
<構成/古澤誠一郎>
【MC正社員】
戦極MCBATTLE主催。自らもラッパーとしてバトルに参戦していたが、運営を中心に活動するようになり、現在のフリースタイルブー