タイのサッカーは地方に行くほど娯楽として定着し、熱烈なファンがつく
2017年からJリーグでタイ人選手がプレーしている。2011年ごろからJリーグ運営がアジアのプロリーグや市場にもJリーグを展開するために動き始め、2012年にアジア戦略室(現在はアジア室となっている)が置かれた。その結果、タイ人選手が日本のチームと契約を結び道を作ったことで今後、タイの子どもたちが日本で活躍することを夢見ることになるだろう。
一方で、タイのプロリーグである「タイ・リーグ」にて活躍する日本人も少なくない。選手だけでなく、監督や運営にも関わっていたり、中にはタイ代表チームに同行するトレーナーもいる。一時期は欧州を含めて、日本以外で最も多くの日本人選手が契約してプレーしていたのがタイだった。しかし、2018年シーズンは17人にまで減ってしまった。
これにはいくつかの事情があり、ひとつはJリーグにJ3が創設されたり、サテライトリーグの登場で、花形選手以外でもプレーのチャンスや契約を取りやすい環境ができたからということがある。それから、最近の若い選手は海外に出てまでプレーしたいと考える選手が少なくなったという説もある。
タイのサッカー事情に通じた日本人に聞くと、「20代の選手は苦労してまで海外、特に東南アジアでプレーしたいとは考えないようです。タイのチームの方が給料がよくてもなにがあるのかわからないので、日本でバイトで食いつなぎながらプレーした方がいいと考えるみたいですね」 と言う。
これはサッカー業界に限らず、一般の企業でも同様の状況のようだ。日本のある専門商社の役員が「若い社員は商社に入社しながら海外赴任を拒否する奴らばかりだ」と嘆いているのを聞いたことがある。
ほかの東南アジア諸国の事情は不明だが、少なくともタイのリーグではそれ以外にも問題がある。ご存知のようにタイは観光国として日本人から人気だし、タイ在住日本人も外務省が発表する在外邦人数ランキングで上位に入っている。そのため、住みやすい上に様々な情報が日本語で手に入る。しかし、これが仇になっていて、悪い情報も同時に入るため、タイでプレーすることにネガティブに考える人も増えてきているのだ。