日本食ブームのタイで「しゃぶしゃぶ」が人気。「タイスキ」も日本化!?

回転寿司としゃぶしゃぶを融合させた「オイシ」グループ

 今や和食ブームで「タイスキ」が「すき焼き」ではないことはタイ人でも知っている。「しゃぶしゃぶ」の名前をタイ人に知らしめたのは、現在の和食ブームではなく、20年くらい前に和食ブッフェで大ヒットしたレストランチェーン「オイシ」グループによるものだと筆者は分析する。
「シャブシ」外観

商業施設内の「シャブシ」

 「オイシ」はコンビニエンスストアで緑茶を販売し、観光客の目にも留まる。当時(今でもそうだが)、日本人に衝撃を与えた加糖緑茶で売れていたが、和食レストランの人気もすごかった。特にタイの原宿と呼ばれる場所にある商業施設「サイアム・ディスカバリー」内のレストラン「オイシ・グランド」(2004年オープン)は一律料金のブッフェ形式で人気があった。当時の料金設定としてはかなり高い部類の高級店で、寿司や天ぷらなどカウンターに立つ職人に頼んでおけば席まで持ってきてくれるほどの親切ぶりだった。
シャブシ

流れの下流にいると食べたい食材が来ないが、そういうときは店員に注文すると別途持ってきてくれる

 そんな「オイシ」グループは一番最初はラーメン店で、爆発的人気の「オイシ・グランド」よりも前の2002年に登場させたのが「シャブシ」である。店頭にはしゃぶしゃぶと寿司の回転スタイルと書かれている。確かに店内のカウンターには寿司がいくつか置かれていて食べ放題だ。 「回転スタイル」というのは、鍋料理店だが、野菜や肉などの食材はすべてベルトコンベアで回ってくることを指す。つまり、回転寿司の要領で食材が配膳されるのだ。近年の日本の回転寿司のようなエクスプレスはなく、ひたすら回ってくる食材から好きなものを取って、火鍋のように2種類のスープのいずれかに入れて煮る。

去年くらいにラインナップに入ってきた黒いスープはすき焼きスープとも呼ばれる

 この店が今タイのチェーン店では最も売れているようで、どの商業施設にも1軒はあり、どこも食事時は行列だ。これだけヒットしたことが「しゃぶしゃぶ」を知らしめ、かつ繰り返さずにひと言「シャーブー」と呼ぶようになった要因なのではないか。  そんな回転鍋の店に触発されてか、普通の「タイスキ」の店までもが元来の中華料理ではなく、日本料理に寄せてきている。最近は東京でも見かけるようになった「タイスキ」のチェーン店「MK(エムケー)」である。
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「ポン酢」もメニューに。「ポン酢」で通じる!
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