女の子の家は何一つ変わっていなかった。ただ一つ、人の気配がないことを除いては
室内はどこもきれいに保たれており、とても債務者家庭とは思えない。
2階の窓からもう一度公園の女の子の家を眺めてみる。やはり人の気配は感じられなかったが、時が止まっていたかのように当時から何一つ変わっていない。
これは付近の住宅にも言えることで、アチラコチラで開発の進む都市計画から置き去りにされたように、この街角のみが姿を変えていない。ただ一つこの不動産執行の入った物件だけがこつ然と現れ、恐ろしい早さで破綻していったということなのだろう。
日本語対応にも難しい部分があり、職業的にも安定性があったとは考え難く、担保価値のある何かを有していたわけでもない彼らに、高額の貸し付け判断を下した地銀の住宅ローン審査も同じく破綻していると考えざるを得ない。
帰り際、もう一度公園の女の子の家に目を向ける。おそらく今は小学校5~6年生に成長しているであろう彼女は、相変わらず明るくニコニコと暮らしているだろうか。当時のままの面倒見で、お向かいにいる小さな女の子の遊び相手にはなってあげていただろうか。
その場合、経済破綻が彼女たちの別れを招くことになるかもしれない。
そう考えると、これまでに我々の経験してきた別れの中にも経済破綻を起因とするものがいくつかあったのだろう。
多方面にマイナス影響を撒き散らす、この経済破綻というものを減らしていくことは出来ないものだろうか。人から大金を借りてまで成し遂げなければならないことは、本当に必要性のあるものなのだろうか。
身の丈に合った範囲内の暮らしでニコニコと明るく生きることは、蔑まれる生き方でもなければ、人から笑われる生き方でもない。
【ニポポ(from トンガリキッズ)】
2005年、トンガリキッズのメンバーとしてスーパーマリオブラザーズ楽曲をフィーチャーした「B-dash!」のスマッシュヒットで40万枚以上のセールスとプラチナディスクを受賞。また、北朝鮮やカルト教団施設などの潜入ルポ、昭和グッズ、珍品コレクションを披露するイベント、週刊誌やWeb媒体での執筆活動、動画配信でも精力的に活動中。
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