1979年2月、スパイ防止法制定を目指して
生長の家ら6団体と勝共連合が「
スパイ防止法制定促進国民会議」を設立、同年6月からは生長の家に替わって勝共連合が主導し全国47都道府県で「
スパイ防止法制定促進県民会議」を結成した。地方議会から決議を挙げ、同法の立法化を目指していた自民党を後押ししたのだ。同法案自体は廃案となったが
特定秘密保護法として復活している。
同様に、現在も
家庭教育支援法や
青少年健全育成基本法など様々な法整備制定や
安倍政権の悲願である
憲法改正への動きを様々な工作で下支えし、
憲法24条の家庭条項改正への策動を進めている。
1990年代初頭には
衆参両院に約200人の「勝共推進議員」と呼ばれる議員がいたとされる。現在の
日本会議系議員のような括りと同様のものだ。その勝共推進議員も東西冷戦の終結により激減することになる。存在意義が薄れた勝共連合との関係を断つ議員が続出、その影響力も次第に薄れていった。
ところが2010年代に入って
第二次安倍政権発足後、俄然息を吹き返してきたのだ。
国際勝共連合会長就任前の昨年8月、政治家対策を担う
UPF(天宙平和連合)の
梶栗正義会長は韓国で開かれた幹部集会の場で、現在の教団最高権力者・
韓鶴子総裁にこう報告している。
「最近、
日本は雰囲気が変わってきました。以前、勝共連合の活動が活性化していた時と同じような、その当時は200名を超える議員たちがご父母様に侍(はべ)っていたのですが、その時と同じような雰囲気が近づいています」
この発言を裏付けるように、多くの国会議員が新たな
現代版「勝共推進議員」と化している。
2000年代後半に相次いだ教団系霊感商法販社の摘発。その追及が宗教法人格剥奪へ発展することを危惧した教団首脳は組織防衛のため、それまで怠っていた政治家対策に再び本腰を入れ始めた。その工作が露わになったのは
第二次安倍政権発足以降のことだ。官邸筋の意向を受けて様々な策動を忠実にこなす見返りに、体制の保護や教団名変更などの便宜供与を受けているのではないかとの疑惑が様々な証拠を複合的に組み合わせることで浮かび上がってきたのだ。
なぜ衰退傾向にあった勝共連合周辺が近年、活況を呈しているのか。この宗教系政治組織の策動と暗躍の背後には何があるのか。それを検証するには第二次安倍政権発足後の政権中枢・官邸筋との緊密関係を詳らかにし、どのようなギブ&テイクが横行してきたのかということを改めて繙いてみる必要がある。(文中敬称略)
<鈴木エイト(やや日刊カルト新聞主筆)・Twitter ID:
@cult_and_fraud>
すずきえいと●滋賀県生まれ。日本大学卒業 2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表~主筆を歴任。2011年よりジャーナリスト活動を始め「週刊朝日」「AERA」「東洋経済」「ダイヤモンド」に寄稿。宗教と政治というテーマのほかに宗教2世問題や反ワクチン問題を取材しトークイベントの主催も行う。共著に『
徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)