「明治150年記念式典」に垣間見えた、安倍政権の思惑とは!?

明治150周年

明治150周年記念式典の様子(首相官邸HP内映像より)

 10月23日、憲政記念館で「明治150年記念式典」が開催された。保守層はこれを伝統行事的にとらえているが、それは違う。今回、天皇、皇后両陛下がご出席されなかったことで世間にも明らかになった。  報道によれば、宮内庁は「政府からお声がけがなかった」(西村泰彦次長)というが、なぜそんなことが起きたのか?  これは天皇陛下の存在を薄れさせ、政治家に権力を集中させようという自民党、つまり右派の政治的行事なのではないか?

4年前の演劇に酷似した状況

 2014年に『治天の君』という劇団チョコレートケーキによる舞台が第21回読売演劇大賞選考委員特別賞を受賞したが、大正天皇の生涯を描いたこの作品、奇しくも現在の日本の状況を予言していた。  作品の中では、大正という時代を薄れさせるため、かつ軍事国家や封建主義であった明治を復権させるために、あえて昭和になってから明治60周年という記念式典を盛大におこなう計画が内閣によって企てられる。平成末に行われる明治150周年式典が計画されていると最初に聞いたとき、筆者はまさに「企て」がはじまった予感がした。そしてそれはそのとおりに実行に移されているようだ。  現天皇の退位を何度も政府が決定したようなフライングがあり、その後、正式に決定された。しかしその後、この件について天皇からのお言葉は発せられていない。これは異常な事態だろう。大正時代にも企てられた不遜な計画が平成で堂々と実行にうつされているのだ。  そもそも、政治的動きをする神道派と縁の深い日本会議は10年以上前から杉並区で自民党議員や元財務相関係者を中心に「古神道勉強会」という名目で活動を行っていた。しかし内情は、盲目的な自民党信者の集まり。筆者の知人がいつのまにかこの団体に取り込まれ、自民党の賛美しかしなくなった事態に接し、団体のカルトぶりがその当時でも異常に感じられた。
次のページ
安倍政権は「逆明治維新」を宣言しようとしているのだ
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会