持続可能な商売をするためには、「復元力」が必要だ

「復元力」は、賢く生き延びるための普遍的なスキル

復元力

カウンターの椅子はいつも整然と並ぶよう、常に素早く復元する

 元どおりに戻す「復元力」。それが、アナタのナリワイと、アナタの幸福度と、アナタが属する人類の持続可能性を、すべて高めてくれる。飲食店に限らない。「復元力」とは、古今東西、ビジネスにもプライベートにも通ずる、賢く生き延びるための普遍なるスキルなのだ。  ちなみに、当店「タマツキ」を営んだ14年間を通じて、1代目のハサミは開業前から使っていたものであり、使い果てた末に役割を全うして壊れ、2代目が未だに現役である。おかげで、店で政治の話や宗教の話でお客さんと意見の相違があっても、ハサミで刺されたことはない。  だから今、生きている。ハサミを買ったのはこの14年間で1個だけに留まっている。俺の身の回りには、マナ板でも、菜箸でも、14年間ナリワイとして活躍してくれたモノがたくさんある。暮らしの中でも、ホッチキスやバッグや服など、学生時代から使っているものがたくさんある。それらの長持ちしているモノがあるから、他のモノが少なくて済む。買い物が少なくて済む。それらはもはや消費物でもなく、モノですらもなく、友のような存在になっている。 【たまTSUKI物語 第10回】 <文/髙坂勝> 1970年生まれ。30歳で大手企業を退社、1人で営む小さなオーガニックバーを開店。今年3月に閉店し、現在は千葉県匝瑳市で「脱会社・脱消費・脱東京」をテーマに、さまざまな試みを行っている。著書に『次の時代を、先に生きる~まだ成長しなければ、ダメだと思っている君へ』(ワニブックス)など
30歳で脱サラ。国内国外をさすらったのち、池袋の片隅で1人営むOrganic Bar「たまにはTSUKIでも眺めましょ」(通称:たまTSUKI) を週4営業、世間からは「退職者量産Bar」と呼ばれる。休みの日には千葉県匝瑳市で NPO「SOSA PROJECT」を創設して米作りや移住斡旋など地域おこしに取り組む。Barはオリンピックを前に15年目に「卒」業。現在は匝瑳市から「ナリワイ」「半農半X」「脱会社・脱消費・脱東京」「脱・経済成長」をテーマに活動する。(株)Re代表、関東学院経済学部非常勤講師、著書に『次の時代を先に生きる』『減速して自由に生きる』(ともにちくま文庫)など。
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※現在、一時的に「たまTSUKI」復活中。『ひとり飲食店講座』『髙坂にいじられナイト」など、イベント情報は以下をご参照ください。
https://ameblo.jp/smile-moonset/entry-12407904414.html
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