萌えイラストへの嫌悪感を示すと「オタク差別」になるという事実<北条かや>

「性差別」の一言で片付られるのか?

 一見すると男尊女卑的な内容に思えるものも、それを好む人たちの意見を聞けば印象がガラリと変わることがある。かつて私は、「キャバクラ」という場所を性差別の権化のようなものだと忌み嫌っていたが、自分でキャバクラ嬢を経験し、そこで働く男女と話をした結果、キャバクラという場所が決して「性差別」の一言で片付けてよいものではないことが分かった。  またアダルトビデオに関しても、男性に無理やり見せられたときは性差別的な内容であると感じたが、業界に近い人やAVを好む男性、逆にAVは苦手だという男性にも話を聞き、出演者の方が書いたものを意識して読んだりするうち、男尊女卑と切り捨てるばかりでは思索が浅いと考えるに至った。  そうした考えから、私は、「私が抑圧を感じるコンテンツ」を好むオタクたちと話してみたかったのである。早速、Twitterで以前から互いにフォローしており、かつリアルでも会ったことのある赤木智弘さんと白饅頭さんというお二方とやり取りをしてみた。彼らはネットフェミニズムに強い反発を感じているようであった。 「オタクがなぜそのコンテンツを好むか聞きたいし、萌え絵などに対する私の理解が一面的であるならばその理由を説明してほしい」という私の主張に対し、赤木智弘さんは「なぜ好むのか話す必要はないし、議論も必要ない」との立場だった。  白饅頭さんは、「そういう釈明はオタクサイドが今まで何度も行ってきているが理解されなかった。今はもう最終戦争の段階。オタクに対してこれまで向けられてきた『気持ち悪い』という批判は差別の粋に達している」というような返答であった。  正直、目からうろこであった。話をしても無駄だというのである。特に白饅頭さんの発言は、一部論点をずらされた点はあったものの非常に勉強になった。一部の女性が差別されてきたのと同じように、オタクもまた差別されてきたのだ。私は今まで、自分が経験してきた女性差別や性暴力には敏感だったが、オタク差別に思いを馳せたことはあまりなかった。
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「オタク差別」という声
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