LFO62 / PIXTA(ピクスタ)
急に強い尿意が襲ってきて、トイレに間に合わない。終わった後にちょっと漏れる。夜中にトイレに行きたくなって目が覚めてしまう――。
そういった排尿にまつわるトラブルは、実は高齢者だけでなく、若い人も含め幅広い年代でみられるようだ。
排泄ケア用品メーカーの調査で
40代以上3人に1人が「尿もれ(軽失禁)がある」とわかっていて、別の調査で尿もれ経験者に日常生活への影響を尋ねた結果、「長時間の外出が不安」と答えた人が
30~50代の約4割、60~70代の約6割もいた。
家族にさえ相談しづらい問題で、とくに男性は誰にも相談できず、尿ケア専用のパッドなどを使うことにも抵抗があるようだ。データからは、ひとりで悩み、尿のトラブルをきっかけに健康に対する自信を失い、さまざまな活動から遠のいて、しょんぼりしてしまう人が少なくない様子がうかがえる。
女性の場合、友人同士で相談することや、排泄ケア用品の利用に抵抗は少ない(思春期から生理用品を使ってきて慣れているため)。とはいえ女性は尿道が短いという泌尿器の構造から男性よりも尿もれしやすく、妊娠・出産によって骨盤底筋群がダメージを受けやすいこともあり、排尿トラブルはとても身近な問題なようだ。
しかし、排泄ケアに関わる専門家は、軽い尿もれなど加齢とともに起こる排尿トラブルは、人知れずこっそり、隙間時間を利用してできる筋トレなど、セルフケアによって改善する症状もあると話す。
児島さんの新刊
書籍『
尿トレ 誰にも言えない尿のトラブル「スッキリ解消!」ブック』(方丈社刊)を最近上梓した理学療法士の児島満理奈さんは排尿トラブル予防・改善の筋トレとして、一般的にもよく知られる
「骨盤底筋体操」を奨励するが、同時に意外な筋肉の筋トレも勧める。
それは
「舌」。骨盤底筋群とつらなる内臓を守る体幹(インナーユニット)全体と、体幹とつながる筋肉「舌」が重要なトレーニングポイントだというのだ。
まず「骨盤底筋体操」について聞いた。
「骨盤底筋体操はとてもメジャーな体操で、私も訪問リハでよく紹介しています。インターネット上には動画などでもやり方がたくさん紹介されているので、ご存知の方も多いかもしれませんね。
体の深部の筋肉を鍛える地味な体操ですが、腹式呼吸をしながら体幹全体に力を入れるコツをつかめば、排尿トラブルはもちろんのこと、姿勢の改善やぽっこりお腹予防にもなる筋トレです。
『体幹全体に力を入れている状態』をイメージすると思わず、お腹周りに力を入れようとがんばってしまう方が多いのですが、力まず(腹式呼吸を続けながら)、リラックスして行うのがポイントです」(児島さん)