電子マネーやキャッシュレス決済は悪か? 欧米での普及と高齢者への対応を調べてみた

 電子マネーの普及が進むいっぽうで、対応できない高齢者が暮らしづらくなっている……。そんな議論が起きている。

なぜ昔の文化にこだわるのか?

photo via Pexels

 キッカケは『マネーポストWEB』に掲載された鳥越俊太郎氏のインタビュー。電子マネーなど、キャッシュレス化が進んだ結果、人との繋がりが希薄になっている。現金で支払うほうがお金を使っている感覚を得やすいというのが主な主旨だ。  これに対してSNS上では「それぐらい使い方を覚えるべき」と“老害”扱いするコメントや、「急速な進歩についていけない人の意見も聞くべき」といった反対意見が溢れている。  前出の記事ではキャッシュレス専用レジの普及なども取り上げられているが、たしかに30代前半の筆者ですら、現金専用レジの行列に並んでいるときに「もっと柔軟に対応してくれればいいのに」と感じることがある。  こうした「現金派対キャッシュレス派」の議論を見て筆者は思ったのは、「はたして日本よりもキャッシュレスが進んでいる欧米の高齢者は、いったいどう対応しているのか?」という疑問だ。  また、海外旅行でも、公共交通機関や飲食店での支払いではクレジットカードやデビットカードのタッチ機能がほとんど。現金しか持たずに旅すると、戸惑うことが少なくない。在日アメリカ人男性のJさんは、キャッシュレス社会について次のように語る。 「アメリカでは、ほとんどすべての場所でデビットカードを使います。現金は誰も持ちたがりませんし、せいぜいチップに使うぐらいです。クレジットカード会社のビジネスモデルにもいろいろ問題はありますけどね。私は日本でもナナコカードや Suicaにチャージして、カードを使うようにしています」 「現金を持ち歩くのがわずらわしい」というJさん。論争が起きているキャッシュレス決済の普及についても、厳しいコメントを寄せる。 「日本社会は老人に厳しいんじゃなくて、現代人に厳しい。日本に来るまではどれだけ進んでいるんだろうと期待していましたが、実際は90年代で止まっているような印象を受けます。クレジットカードを使うにしても手数料が高い。本当は家賃など、何もかもカードで済ませたいところですが、使えないところが多いですよね」  またカナダでもキャッシュレス化はかなり進んでいる。 「最後にATMにお金をおろしに寄ったのもいつか思い出せないぐらいです。なんで日本がそこまで昔の文化にこだわっているのか謎ですね」(カナダ人女性)
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