「相手に委ねる」ことが下手なリーダーはチームメンバーの能動性を引き出せない

山口博

何度もスローガンを唱えるより、相手に委ねてみる

 日々のビジネス活動にあてはめてみても、同じことが言える。「社員を尊重します」「相互に尊重」「顧客第一主義」という標語を掲げている会社は多い。しかし、そのような標語を何度も繰り返せば繰り返すほど、意図は伝わりにくくなる。  そのような標語を一言も言わなくても……。むしろ、あえて口にせず、「どうぞ実施したいときにしてください」と委ねるほうが、相手を尊重するという意図を伝えるパワーは強くなる。  こう言うと、「同僚に委ねられるものばかりではない」「部下や後半に委ねたらたいへんなことになる」「お客さまにすべて委ねてしまったらハンドリングできない」という反応が返ってくる。  しかし、何もすべてを委ねなくてもよいのだ。相手の判断に委ねてもよい内容、そして範囲を決めて、任せればよいだけのことだ。「委ねられない」「委ねたらたいへんなことになる」と、直感的に思ってしまう人は、そう思う気持ちがバリアになってしまっていることが多い。  「この順番で話をさせなければならない」と思ってしまうか、「話したくなった人から話しましょう」と思えるか。その判断が、相手を巻き込めるかどうかを左右する、コアスキルなのだ。  もちろん、「どうしてもこの順番でやらなければならない」というときには、その順番でやってもらえばよい。しかし、実施したり話したりする順番を相手に委ねられる場面は意外に多いものだ。「うまく相手を巻き込むことができない」「尊重している気持ちが伝わらない」という人は、そういった場面でつい順番を決めたり指図していないか、振り返ってみてほしい。 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第105回】 【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある
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