迫るブラジル大統領選。トランプより危険な極右差別主義候補が台頭した理由
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2015年12月の時点で、支持率は僅か3%しかなかったボルソナロの急成長の基盤は、ブラジル社会が本来右翼系の国で、市民は保守的で、民主主義とはかけ離れた独裁制を好む傾向にあるからだと指摘しているのはジャーナリストのアンヘリカ・ラゴス・カマルゴである。(参照:コロンビア紙『EL ESPECTADOR』電子版9月29日付)
更に、カマルゴは同記事の中でボルソナロに集まっている多くの票は労働者党を拒否した産物であると指摘している。
2003年から2016年まで、労働者党出身のルラとルセフの二人の大統領によって進められた改革で、著しい貧富の差がブラジル社会で是正された。それはブラジルの政治史において偉業である。
特に、2003年から2011年まで政権を担ったルラ大統領は3000万人以上の市民を貧困層から救出して、彼らが税金を支払い、バケーションも取れるまでに生活を向上させた。富の分配に修正を加え、貧困層を減少させたのであった。(参照:「El Pais」)
ところが、カマルゴが指摘しているように、富裕層そしてブラジルの中流層を占めている白人社会がそれに嫉妬を感じているというのである。それに加えて、15年近く続いた左派政権によって、ブラジル経済は極度に低迷し、嘗て右派の政党にだけ独占されていた汚職が労働者党の左派にも及ぶようになった。
このような社会事情の変化に、ブラジルの保守派は尚更ルラとルセフの政治に反感をもつようになったのである。特に、富裕層や中流層の若者の間では社会主義思想の政権にはもううんざりしているという。
カマルゴが同紙で指摘しているが、欧米では民主政治が発展していて、極右や極左が存在していてもそれを抑止する民主的な動きがある。しかし、ブラジルでは民主政治が強固なものになっていないためにそれを抑止する動きがないと述べている。だから、カマルゴは民主政治が強固なものに成長していないブラジルで極右のボルソナロは米国の極右のトランプに比べより危険だと指摘している。
ブラジルの大統領選挙が10月7日に迫っている。
極右の下院議員ジャイル・ボルソナロと、ルラ元大統領が高等選挙裁判所から正式に立候補することが禁止されたあとを継いだサンパウロの前市長フェルナンド・ハダードの一騎打ちになる可能性が濃厚になりつつある。大統領候補者13人がいる中で、メディアはこの二人に焦点を合わせるようになっている。
10月1日に発表された『TV Globo』による世論調査では、ボルソナロがハダードを10ポイント引き離しているという。ボルソナロの予測得票率31%に対し、ハダードが21%なのだ。しかし、同月28日の決戦投票となると、両者は42%の同率という予測結果になっている。(参照:「極右候補ボルソナロはなぜ急成長したのか?
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