2020年東京五輪、犯罪組織も「一攫千金」を虎視眈々と狙っている
2018.10.08
一方で、五輪記念硬貨をめぐる犯罪を計画する連中もいる。都内の暴力団関係者は言う。
「1万円分の価値しかない金の記念硬貨が12万円だよ。そこで本物の金で偽物を造って売ろうという計画がある。現物さえ手に入れば、50万円くらいの3Dプリンターで偽造できるしね。今、裏社会では表に出せない金地金が多い。消費税分を利ざやにした金の密輸が流行ったでしょ。でも当局が監視を強化してなかなか換金できない。そこで、これを偽造記念金貨の原料にしようというわけ。金の重さが同じならバレない」
夏原氏は裏社会がもっとも注目しているのは闇民泊だと言う。
「港区などの都心でも空き家の木造住宅や古いアパートがたくさんあり、そういう物件を漁っている連中がいる。生活保護受給者を押し込んでいる福祉アパートも、彼らを追い出して期間中は観光客相手に闇民泊として活用する動きがある。また、『かぼちゃの馬車』や『TATERU』など投資用物件をめぐる改ざん事件が相次いでいますが、これらのオーナーに『五輪に向けて民泊向けに転換しましょう。面倒な届け出も全部やるので加盟して』と勧誘し、加盟料を詐取する詐欺なんかも今後、出てくるでしょうね。一度騙されたヤツは次も騙されるというのは詐欺業界の基本ですから」
一方、薬物組織も五輪を商機ととらえている。暴力団の準構成員で元プッシャーの男性は言う。
「大麻でもコカインでも五輪期間中はプレミアがついて、末端価格が1.5~2倍になる。リオのときもロンドンのときもそうだった。値上がり前に仕入れておいて、五輪のときに売ろうとしてるヤツらは周囲にいますよ。欧米は大麻の個人所持を合法化してる国も多いので、日本の法律を知らずにこっちでも吸おうとするヤツが絶対、出てくるから」
裏社会も準備に忙しいようだ。
「違法な便乗ビジネスの主体はヤクザではなく半グレ。高齢化するヤクザに最新IT技術は理解できない。半グレが金主となってアイデアを出し、実行もしくは手伝いとしてヤクザが入る構図です。また、半グレはこの種の商才に長けた在日中国人とどう組むかが成功の鍵になるでしょうね」(夏原氏)
五輪期間中は犯罪者にとって天国になるのか……。
【夏原 武氏】
’59年生まれ。作家・ルポライター。漫画『クロサギ』(小学館)の原案者。『正直不動産』が現在連載中
― 東京五輪[便乗]ビジネス ―
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