『ダブルヘッダーのインターバルは20分』という謎アグリーメント
ここでダブルヘッダーに関して、セリーグアグリーメントがCS制度と相容れないルールを設けてしまっている点を指摘したい。それが『②ダブルヘッダーは20分しかインターバルを設けられない』というものだ。
阪神球団がダブルヘッダーに難色を示している理由として、「ダブルヘッダーは第1試合終了後、20分以内に第2試合を開始しなくてはいけない」ルールに対して、対戦相手が第1試合と第2試合で違う場合など、観客や対戦相手も含めて入れ替えが短時間では困難だという点を理由としているようである。(ちなみに観客入れ替えをする場合は30分以内までとなっているが、それでも短い)
この阪神球団の言い分はもっともだ。第1試合と第2試合で対戦相手が一緒であることを大前提としているとしか思えない。仮に対戦相手が一緒だったとしても20分の間隔は厳しすぎる。CS争いのためにどれだけ日程消化をがんばろうとしても、ルールによって興行として実行が難しくなるというのは「考慮が足りない」。
さらに、そもそもこのダブルヘッダーの開催をするかしないかの決定が先延ばしされていることそのものが実は問題だと指摘する人は少ない。
もし阪神が3位浮上となった場合に起こる「試合をやらない権利」
9月29日現在阪神は5位で3位とはゲーム差があるために可能性は薄いと承知だが、もし、ダブルヘッダーをしないと11日までに日程が消化できない状況、かつ、阪神が快進撃を決めて3位に浮上していた場合、阪神球団は『意図して』ダブルヘッダーをやらないという選択肢を取ることが可能なのである。
『③CS出場権確定期限までに日程消化をする義務は球団にはない』という、ルールが「ない」面が球団によっては利用することが可能な状況になっているのである。
阪神球団からすれば11日試合終了時点での順位で3位が保証される状況であれば、振替の試合を12日以降にしてしまえばいいのだ。主催試合の追加日程を決められるのは、主催球団だ。
あくまでこれは仮定の話ではある。昨年阪神は横浜DeNAのために雨天中止で打ち切りまで見えていたCSファーストステージを、コンディションが悪い状態にもかかわらず「泥の甲子園」でなんとか試合を開催したこともある球団だ。そんなルールの盲点を突くようなことを意図するとは思えない。
だが、そういった意図を理論上可能な状況をルールで作ってしまっているのは果たしてどうなのであろうか。CS出場権を争うチーム同士の振替試合を、期限までにやるかやらないかを一方のチームが握っていて、そのチームのほうが順位が上であればこれは阪神や横浜DeNAに限らず、今後全てのチームにおいて同じ問題が発生し、いつかそんな「試合をやらない」を発動してしまう可能性がある。
ちなみに27日、NPBは阪神球団にダブルヘッダーの打診をしたようだが、あくまで打診であって、義務ではない。