半世紀を経てバチカンと中国が国交復活へ暫定合意。しかし、完全復活に向けてはまだ障壁も

白石和幸
ヴァチカンの町並み

martineci999 via pixabay(CC0 Public Domain)

 9月22日、1951年から国交が断絶していたバチカンと中国が暫定合意した。

 1949年に毛沢東によって中華人民共和国が建国されると、カトリック教の教えは国家統一の妨げになるとして排斥。それ以後、バチカンは中国との国交をこれまで断絶していた。

 一方の中国は、宗教を政治的に利用するためにバチカンのカトリックに代わって、1957年に「中国天主教愛国会」を創設した。その陰で、バチカンのカトリック教徒は隠れて布教活動を実施。それが「地下教会」と呼ばれている。だから、中国では二つのカトリック教が併行して存在しているのである。両方合わせて信者は1200万人いると推測されているが、別の統計では地下教会の信者だけで1200万人、天主教愛国会の信者を加えると6000~7000万人いるとも推計されている。(参照:「info Catolica」、「La Vanguardia」)

フランシスコ法王の課題だった中国との和解

 2013年にアルゼンチンのホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿がローマ法王に選ばれた理由のひとつが欧米で信者が減少しているのを前に、ラテンアメリカにおけるカトリック教の布教活動の強化であった。彼がフランシスコ法王になると、ラテンアメリカにおける布教活動の強化は勿論のこと、ロシアと中国への布教活動の拡大を望んだのである。その為に、ロシアとは正教会のキリル総主教とフランシスコ法王は2016年2月にキューバの首都ハバナで会談し、11世紀に分裂して以来初めて双方の和解の第一歩が始まった。

 もうひとつ、フランシスコ法王が課題にしているのが中国との和解であった。中国の地下教会は中国政府の監視のもとこれまでも司教や神父が収監されたり、信者が弾圧されたりして来た。また教会が破壊されたりもしている。

 そこで、バチカンが望んでいるのはキリスト教が中国の政治の統一を乱すものではないということを理解させ、宣教師や信者が安心して信仰に捧げることができるようにすることである。

 その結果至ったのが今回の暫定合意である。その基本は中国政府が選任した司教7人を法王が司教として受け入れるということ。その代りに、中国はローマ法王をカトリック教会の最高位聖職者として認めるというものだ。

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噴出する暫定合意への異論

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