沖縄県知事選2018リポート。キャバクラ3軒ハシゴしてわかった、「カルト」発信源のデマに侵される若者たち

「沖縄2紙は偏っている」という誤解

 そして、総勢20人以上と話したうちの約半分が「沖縄2紙は偏っていて、一番偏っていないのは八重山日報だ」という認識を持っていました。どうしてそう思っているのかを聞いたら「みんな言っているから」で、そう言って回る街宣車が走っていて、そういうのを見ると偏っていると感じるそうです。  ただ、その女のコたちは1人を除いて、沖縄タイムスも、琉球新報も、八重山日報も読んだことはありません。「偏っていると言われるから読まない」といい、「沖縄のメディアはテレビも含めて全部が偏っているので、メディアの情報は信じない」と言うのです。  さまざまな情報の中からリテラシーを持って判断するのではなく、そもそも情報を遮断する傾向にあるため、ますます認知が偏ってしまうパターンです。たった1人だけ嘘か本当か分かりませんが、「私は新聞を読んでいる」と言ってきた女のコがいて、「どこらへんが偏っていると思うのですか?」と質問したら、「沖縄の新聞は沖縄の話ばっかりやっている」といい、地方紙の役割すら理解していませんでした。
極右看板

左の山本優美子氏は元在特会、右の仲村覚氏は幸福の科学の自称「元信者」。彼の姪は同教団の幹部と言われている

 また、これも若者たちがよく言うことなのですが、「米兵の不祥事は新聞になるけど、米兵が良いことをしても新聞には載らない。だから、フェアではない」と言うのです。ただ、そもそも新聞というのは事件を載せるものであり、実際に新聞を読んでみると、当然のことながら、日常のさまざまなニュースを載せており、どこかで誰かが飲酒運転で捕まったという話まで載っているのです。  日頃からさまざまな事件を報じているけれど、米兵のニュースが話題になってしまうのは、それだけインパクトの大きい事件を起こすからです。  先日、読谷村で女子高生が米兵に襲われかけたニュースも、女子高生が窓から逃げて一命を取り留めましたが、どんな事件に発展していたのかは分かりません。  全国的に見れば、今日もどこかで殺人事件やレイプ事件は起きているのかもしれませんが、それらの事件は日本の警察が犯人を逮捕し、日本の法律で裁かれ、罪を償うことになります。ところが、米兵の事件は「日米地位協定」によって、米軍からの身柄引き渡しが条件であり、もし身柄を引き渡してもらえなかったら逮捕されることも、日本の法律で裁かれることもないのです。  事件が起こるたび、沖縄の人たちが大騒ぎしてきたから、最近では米兵の身柄が引き渡されることになりましたが、昔は殺人やレイプなどの凶悪犯罪をした米兵が何の制裁を受けることなく、のこのことアメリカに帰国し、日本人は泣き寝入りさせられていたのです。だから、米兵の事件に過敏になるのは当然なのですが、若者たちはそれさえ理解していないため、「米兵だけ悪者にされている」と考えており、どうしてそんなことになっているのかと言うと、「基地に反対している人たちが米兵を悪者にしようとしているから」なのです。つまり、戦争の歴史だけでなく、つい最近の事件の歴史さえ、誰一人として理解していないというわけです。
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「基地があれば潤う」!?
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