1歳児連れの外国人旅行者が日本滞在中に感じた「子供を巡る日本の環境」
ここまで子連れに対する陰陽を見てきたが、最後に社会全体の子育てに関するありかたを聞いてみた。超少子高齢化社会となっている日本において、未来を担う子どもたちの育児や保育はどう考えるべきなのだろうか?
「日本ではどうか知りませんが、欧米では妊婦や子どもを“重荷”のように扱うことは一切許されません。たとえば、政治家がそんなことを口にすれば、政治生命どころか、社会人としての命を立つのに等しい行為です。また、レストランや駐車場、どこで並んでも子連れは最優先されますし、入口に一番近いです。女性が妊娠して仕事を辞めさせられることもありませんし、育休どころか補助金までもらえるぐらいです」(U)
子どもを産みたいけど、社会からの後押しや助けがなくて産めない……。そんなことはもってのほか。現在、日本ではネット上での匿名の“意見”だけでなく、公職についている人間からすら堂々と育児について辛辣な意見が出ているが、そんな状況も考えられないようだ。
「僕らが暮らしているところでは、社会的にも文化的にも子連れを大事にしようという意識が強い。子どもが泣いているからじろじろ見るなんて、まずありえない。すべての仕組みを子どもに合わせていて理解があります。国を大きくするなら、それは最低限の投資。子どもは未来の生産者、納税者なのに、日本の政治家にはその意識が足りないと思う」(M)
連休が続く秋の始まり。子連れで出かけた、子連れを多く見かけたという読者の方も少なくないはずだ。我々は行楽シーズンで感じた何気ない思いを、ほんの少し掘り下げてみるべきなのかもしれない。外国人観光客が「子連れでも旅行者としては楽しめた!」(U)というように、日本で子どもを育てるすべての人々が毎日を幸せに過ごせるよう。
<取材・文・撮影/林泰人>
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン