自民党総裁選、満面の笑みの石破氏、顔面蒼白の甘利氏、無表情の進次郎氏

顔面蒼白だった安倍選対の責任者・甘利氏、満面の笑みの石破氏

安倍石破

投開票結果を受けて、手を取り合う石破茂・元防衛相と安倍晋三・総裁

 総裁選は石破茂・元防衛相が8月10日に出馬会見を開いて始まった。私はその日以来、できうる限り、石破氏に番記者のごとく張り付くようになった。自民党では異例なことでフリー記者にも会見は開放し、告示日まで一時間を超える会見をテーマごとに6回もやった。  石破茂氏は総裁選特設サイトで「47都道府県のみなさまへ」という動画も公開し、話題になった。石破氏が47都道府県についてそれぞれ5~8分、原稿も読まず、自身の体験したエピソードや思い入りを織り交ぜ語るもので、計47本の動画が公開された。選対スタッフは準備も入れて製作に30時間を要したと語った。ラサール石井さんが絶賛するなど、各方面で話題になった。  石破派議員は「こちらには組織も議員もいない。地道に有権者に訴えていくしかない」と戦略を語ったものだった。  石破陣営は主に党員・党友票を狙い、「20%台だったら次はない。30%だったら、まあまあ。40%を超えたら実質勝利だ」(石破派幹部)というように、40%の得票を目指していたのだ。はじめは手応えが感じられなかったが、投票日が近づくにつれ、支持率が伸びていき、演説会場にも聴衆が増えていき、陣営は手応えを感じているようだった。
甘利明

安倍選対として実質的な最高責任者だった甘利明・元経済再生担当相

 そして、蓋を開けたら45%の得票という、想像以上の結果。さらに、19日までに石破支持を表明した議員は50名弱。議員票73票という結果は、20名近く“隠れ石破系”がいることを示した。  広報を担当した平将明・衆院議員は会場を出るときに満面の笑みを浮かべていた。それは石破茂氏も同様だった。記者のぶら下がり取材を受けた石破氏は終始、笑顔を浮かべ、結果について 「未来永劫、続く政権はない。今回のありがたい結果に満足することなく、改めるべき点は改め、国民の思いに反することがないようさらに努めていきたい」  と語った。総裁選後に集まった石破系グループの会合は祝勝ムードが漂っていたという。  一方、3選を果たした安倍晋三・総裁も支持議員を集めて会合を持ったが、司令塔だった甘利明・選対事務総長は顔面蒼白。石破氏が安倍氏より票を上回った県選出の議員は苦虫を噛み潰したような表情だったという。安倍氏は笑みを浮かべていたが、陣営は沈痛な面持ちだった。  全国紙記者は語る。 「石破氏の政治生命を絶つどころか、自民党員・党友からすら、安倍さんへの不信が強く、さして支持されていないことが明らかになってしまった。全面的に信任を得られたとはとうてい言い難く、安倍一強の脆さが露呈してしまった。陣営が諸手を挙げて喜べないのは当然ですよ。10月1日にも内閣改造・党役員人事刷新が行われる予定ですが、安倍さんの選対内では猟官合戦が激しかったですから、求心力を取り戻せるか。人事によって躓いてしまう可能性もあります」
次のページ
野党では山本太郎がいち早く街頭演説
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会