続いては寝具。豪雨災害で布団がすべて水浸しになってしまったり、避難所でも毛布が足りていないといった状況は考えられます。その際にもゴミ袋と新聞紙が使えます。ゴミ袋の底を抜き、体が収まる長さにテープで張り合わせて長い袋をつくります。その中にしわくちゃにした新聞紙を入れれば、簡易寝袋ができます。厳冬期の寒さをしのぐ保温力はありませんが、春、秋であれば、保温着を着込めば温かさを補助するものになります。
最近はスマホの普及とともに自宅に新聞がないという方も増えているようですが、災害時のストックとして新聞紙を購入しておくとよいです。つい最近も、Amazonで新聞紙、印刷前の新聞紙を販売していることが話題になったばかりです。
このように、災害時は身近にあるちょっとしたアイテムが役に立ちます。最初に紹介したペットボトルも、使い道が多いです。
例えばペットボトルのキャップに画鋲などで穴を開ければ、シャワー代わりに。災害時には使える水の量が限られているので、少ない量で顔や手を洗うのにも適しています。幼児のいる場合は、おむつ交換の際におしりの汚れを落とすのにも使えます。
また、ペットボトルをカットすれば、コップや皿も自作できます。コップは飲み口のある上部をカット。皿は例えば長方形のボトルなら広い側面を切れば簡単に作れます。どちらも切り口でケガをする可能性があるので、爪切りのヤスリなどで滑らかにした方がよいですが、なければ慎重に使いましょう。
さらに調理や湯沸かしに使うカセットコンロなどの燃料節約に便利なのが、ペットボトルを温水器にする方法です。水を入れて日中クルマの中に放置したり、黒いビニール袋で包んで日向に置いておけば、簡単に温水ができます。調理以外にシャワーに使ってもよいでしょう。またタオルに包み冷めにくくして、湯たんぽ代わりに使うのもありです。
そして最後は調理用のラップ。ラップが開発されたアメリカでは、暑い南方の戦地で兵士を悩ませていた蚊から身を守るための蚊帳、ジャングルを行進する兵士を水虫から守る靴の中敷き、銃や弾丸を湿気から守るための包装フィルムなどが、当初の主な用途だったそうです。
このように、そもそもラップは多様に使えるモノなので、アイデア次第でいろいろと使えます。まず水の節約のため、食事で使用する皿にラップをしておき、食後にはがせば皿を汚さずに済みます。
また、寒い季節に体幹部(胴)に巻けば腹巻になります。新聞紙を巻いた上からラップを巻けば、より効果的です。冷え性の人は、つま先に巻けば冷え防止にも使えます。
腕や足の切り傷、擦り傷の処置にも便利です。患部を水洗いして汚れや異物を流し、きれいなタオルなどで圧迫止血したあと、ラップで巻き、その上から包帯を巻く。最低1日1回ラップを交換すれば、治りも早く、傷が残りにくいと言われています。これは「湿潤療法」と呼ばれる方法です。もちろん、骨が見えるような深い傷や、ガラスや砂が傷に入って取れない場合は、医師の診察を受けたほうがよいです。
最後に、こういった小技や知識は、たとえ知っていても、実際の災害時にはなかなか思い出せない場合が多くあります。そのため日常生活や、キャンプなどで一度試しておくとよいでしょう。そうすれば、別の小ワザや、自分なりのアイデアを思いつくかもしれません!
<取材・文/PONCHO>