災害が多発した今夏の日本列島。天災に襲われ、心折れそうなとき、人は泣いていい

菅野完
北海道地震

写真/時事通信社

繰り返す大災害。辛い時、悲惨な目に遭ったとき、人間は泣いていい。

 震度7。9月6日未明に北海道勇払郡厚真町を襲った揺れの大きさだ。

 あれだけの被害を巻き起こした東日本大震災とまったく同程度の揺れだ。地震計からの連絡が一時途絶えたというのも頷ける。

 本稿執筆時点で報告されている死者の数は16人。安否不明者の数は20人にのぼる。厚真町などの被災の現場ではいまも懸命の救助活動が続いている。また、今回の地震では大規模火力発電所がブラックアウトしたため、北海道全域での大規模停電が発生した。本格復旧にはなお数日の時間が必要だという。

 思えば北海道は今年、受難続きだ。7月の西日本大水害の直前には、道央を豪雨が襲い石狩川が氾濫するなどし、旭川市街が水没する被害が発生している。また、今回の地震の前日には、近畿と四国で甚大な被害を巻き起こした台風21号による強風と雨が襲っている。そして今回の地震……。北海道各地は、繰り返し襲いくる天災に今年一年振り回され続けているのだ。

 だが、繰り返し繰り返し、天災に襲われ続けているのは北海道だけではない。この夏、水害、台風、地震などの天災が列島各地で荒れ狂った。その度に我々は、家族を亡くし悲嘆にくれる人、生活の基盤を失い絶望する人たちの姿を見てきた。あまりにも繰り返し繰り返し、たくさんのむごたらしい光景を短時間に目にしてきたため、もはや西日本大水害で甚大な被害を被った岡山県倉敷市真備町の惨状を忘れてしまいそうにさえなっているし、今回の北海道胆振東部地震の被害の甚大さの前に、その数日前に発生し今現在も続いている神戸・大阪・京都の台風被害のことさえ忘却しそうになってしまっている。ここに列挙した被害は、わずかここ2か月の間に発生したものばかりだというのに……。

 日本列島は火山列島であり、プレートの狭間に位置する地震列島であり、台風の通り道に位置する。そうである以上、我が国を繰り返し天災が襲うのは半ば宿命ですらある。

 だが宿命だからといって「慣れっこ」になってはいけない。悲惨な光景を目にすると記憶をブラックアウトしたり、正常化バイアスが走るのは人間の自己防衛本能の一種なのだろう。また、我々の社会には「我慢」を美徳とするところがあり、天災で人生を一変させられたにもかかわらず、それを黙って甘受する姿を「美しい」と評価してしまう傾向があるのも事実だ。

 しかし、それではあまりにも人間が可哀想ではないか。辛い思いをしたとき、悲惨な目に遭ったとき、人間は泣いていい。泣いて助けを求めていい。我慢する必要なんかない。大きな声で泣いていいのだ。

 この夏、各地で悲惨な目に遭った多数の人たちに、改めて、お悔やみ申し上げるとともに、「辛かったら泣いていいんですよ」の一言を送りたい。

【菅野完】
1974年、奈良県生まれ。サラリーマンのかたわら、執筆活動を開始。2015年に退職し、「ハーバービジネスオンライン」にて日本会議の淵源を探る「草の根保守の蠢動」を連載。同連載をまとめた『日本会議の研究』(扶桑社新書)が第1回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞を受賞。最近、どこよりも早く森友問題の情報を提供するメルマガが話題(https://sugano.shop/

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