北海道胆振東部地震に対し、5億4000万円という非常にショボい金額の追加支援を決め、プーチン大統領の待つロシアに旅立った安倍晋三総理。自民党総裁選の真っ最中ということもあり、経済界のオジサンたちをロシアの要人とつなぎ、
「北方領土返還に向けて道筋が立った」と宣言した直後、プーチン大統領に
「年末までに無条件で日露平和条約を締結しろ」と言われ、返還の道筋どころか、北方領土が返ってこない道筋が立っていたことが露呈してしまったわけですが、戦後のどさくさに紛れて奪われてしまった北方領土を返してもらうために、長きにわたり、歴代の国会議員がロシアと粘り強く交渉してきた努力を、とうとう安倍晋三総理が終止符を打つかもしれません。
こんな状態であっても、9月8日、9日の朝日新聞の世論調査では41%の人が安倍政権を支持しており、相変わらず選挙では連勝を続けています。昨年の衆院選では大博打を仕掛けてきた小池百合子都知事の戦略を交わし、圧倒的な議席を獲得。今年2月の
名護市長選、6月の
新潟県知事選でも勝利を収め、選挙では向かうところ敵なしです。
もし今回も佐喜眞淳さんが勝てば、モリカケ問題で揺れても、公文書を改竄しても、ロシアに北方領土を奪われそうになっても、国民は安倍政権を支持してくれるものだということになり、今後もこのまま突き進むことになります。しかし、もしここで玉城デニーさんが勝つようなことがあると、これまでの連戦連勝が止まることになり、これが
「終わりの始まり」なのではないかと心配になる自民党員が出るようになります。
これまでやりたい放題に進めてきた安倍晋三総理に
「本当にこのままで大丈夫なの?」という声が自民党内に上がるようになると、いろいろなことがとってもやりづらくなります。なので、安倍政権にとって今回の沖縄県知事選は、絶対に負けられない戦いなのです。
今回の沖縄県知事選は、かなり拮抗した戦いになることは間違いありません。佐喜眞淳さんには自民党を支持する企業の組織票、公明党を支持する創価学会の信者とそのフレンド票、日本維新の会を支持する、沖縄にカジノを誘致したい新自由主義経済を掲げる人たちの票など、かなりの票が前もって期待できます。
一方、玉城デニーさんを支持する人たちは、連合系の組織票があるとはいえ、創価学会が目指す10万票に比べると3分の1ほどでしかなく、
「オール沖縄」として加わる共産党支持者の票を加えても、佐喜眞淳さんの組織票には遠く及びません。それでも拮抗した戦いになると考えられるのは、主婦などの一般有権者たちから支持される割合が高いと考えられるからで、どのような結果になるのかは誰にも読めないほどの接戦です。
選挙が始まる前に、佐喜眞淳さんは空手を披露し、玉城デニーさんはギターを弾きながらのロックンロールを披露しており、ともに特技や個性を生かして選挙を戦っています。両陣営に大手広告代理店が入ってのイメージ戦略選挙を展開しそうな形相を呈していますが、いずれにしても選挙を見守る
「選挙ウォッチャー」たちにとっては、この上なく面白い選挙になりそうだということです。9月30日までの約2週間ちょっと、沖縄から目が離せません。
<取材・文/選挙ウォッチャーちだい(Twitter ID:
@chidaisan)>
ちだい●選挙ウォッチャーとして日本中の選挙を追いかけ、取材活動を行う。選挙ごとに「どんな選挙だったのか」を振り返るとともに、そこで得た選挙戦略のノウハウなどをTwitterやnote「
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