深刻化するメキシコの麻薬カルテル増加。最大の犠牲者は「若者」という現実

年間5000人以上が殺される

 カルテルの増加によって犯罪もまた増えていった。その結果、これまで年ごとに殺害件数も増えているという状態になっている。また、今回の大統領選挙と一緒に実施された議会選挙においても114人の候補者が殺害されるという事態にまで発展しているのである。(参照:「CONTRALÍNEA」)  メキシコの前はコロンビアが麻薬王国として君臨していたが、その時に米国は「コロンビア・プラン」と称して、その撲滅にコロンビア政府に協力した。メキシコの場合も同様に、米国は「メリダ」と称してメキシコ政府に資金などを提供して麻薬の撲滅に協力している。しかし、その成果があったのはフェリペ・カルデロンの政権当初の頃だけで、カルテルの数が増えるにつれて犯罪も増加していくのである。これまでの犠牲者の数が多かった年を『Excelsior』は以下のように報じている。 2010年(6046人) 2011年(6345人) 2012年(6283人) 2013年(5105人) 2016年(5242人)  殺害件数が多い州はチウアナ、エドメックス、ゲレロ、シナロアそしてメキシコ市自治区である。これらの州はカルテルが根を張っているところである。

2018年は過去最大の犯罪多発年になる可能性も

 また今年2018年について見ると、メキシコ政府がつい最近発表した報告によると、今年5月に殺害された人は2890人。そして同月の2017年は2194人、2016年は1736人と年々増加している。これを報じた『CNN Español』(6月22日付)は、今年はこれまでで最も犯罪の多い年になるかもしれないと指摘している。  情報電子紙『CONTRALÍNEA』(7月18日付)は、30歳未満でこの10年間に殺害された若者は11万8393人という恐ろしい数字を挙げている。また、同紙はメキシコで一番のエリート大学とされているメキシコ国立自治大学やモンテレイ工科大学のキャンパスにおいて学生が殺害されるという事件が起きたことも報じている。
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警察も腐敗している現実
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