ネットによる販売はインディテックスは他社に比べ後発で、ZARAブランドで試験的に始めたのが2012年であった。それから僅か5年にしてインディテックスの売上の10%を占めるまでに急成長しているのである。
今年3月にCEOのパブロ・イスラが「ネット販売が次第に重要になっている」と述べて、それまで未公開にしていた同社のネット販売の売上ボリュームを初めて公開したというエピソードもある。(参照:「
Libre Mercado」)
それは同時に彼らの市場を次第に侵食しているアマゾンを意識したものであった。これから消費者はさらにネットによる購入を選択するようになるという市場の流れを前に、成長を維持するには遅かれ早かれアマゾンと対峙する運命にあるというのをパブロ・イスラは充分に承知しているようである。
また、一方のアマゾンは自社ブランドで生産した商品をネット販売するというプランも積極的に展開している。
アパレル分野では、米国では既に7つの自社アパレルブランドを販売しているそうだが、ヨーロッパ市場では昨年後半からスペインを始め他ヨーロッパ4か国においてアパレルの自社ブランド「find」のネット販売を開始している。女性と男性向けコレクションそれぞれシーズン毎に500アイテムである。ZARAに類似のコレクションで価格帯もZARAと同等になっている。(参照:「
TIC beat」)
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。