また、チキータがゲリラ組織に支払っていた内容については情報電子紙
『verdad abierta』が米国のNational Security Archive(リベラル系非営利団体である国家安全保障文書館)から得た情報を元に分析している。
それによると、1991年から1996年の5年間に856815ドル(9430万円)をチキータがゲリラ組織に支払っていたことを明らかにしている。
例えば、1991年10月から1992年9月までに支払った総額は76350ドル(840万円)で、その中でもELNへの資金提供が一番多く42500ドル(467万円)であった。
最終的にはFARCがチキータから一番多額の資金提供を受けている。1991年から1996年の期間だと途中1993年は含まれていないが、FARCには236000ドル(2600万円)から314000ドル(3450万円)、ELNには(124000ドル(1360万円)から165000ドル(1820万円)を提供したとなっている。
提供されている金額が日本だと億円単位になろうと思われる。例えば、コロンビアの一人当たりのGDPは日本のそれの15%程度である。だから千万円単位というのはコロンビアでは相当の価値になる。
この資金の提供がチキータの財務で容易に発見されないようにチキータが発行する多数のインボイスで中で詳細なる明細が必要でない項目に紛らわして支払いを実行していたという。ゲリラ組織が請求書を発行するなど当然考えられないことで。それを支払う橋渡しになる人物が彼らの責任者から領収したという署名を貰うシステムにしていたそうだ。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。