在留邦人中心に盛り上がった仮想通貨投資はタイでも一段落。ただ、電子決済インフラなどは急速に進展

電子マネーも整備が進むタイ

 仮想通貨と同列で語ることにやや違和感はあるが、タイは電子決済システムの整備に力を入れている。2016年には「ナショナルeペイメント(プロムペイ)」を政府主導で導入した。これはタイで出生届を出すと与えられる国民番号と携帯電話や銀行口座をリンクさせるシステムで、まだ完全普及はしていないものの、納税や店舗での支払いなどができるようになる。  さらに統一QRコードでの決済システムもタイ政府は推進していて、すでに一部の銀行ではサービスが開始されている。中国のように屋台でも電子決済ができるようになっているのだ。
スーパーのレジ

電子決済システムが普及し、スーパーのカウンターでも各種支払いが可能になった

 これに後押しされるように電子マネーのサービスが次々と登場している。コンビニでも電子決済の装置がカウンターに取りつけられ、またコミュニケーションアプリの「LINE」による電子マネーも広まっている。

業種を越えた連携は苦手!?

 ただ、タイは各社が連携することがあまりないという懸念材料もある。例えば、最も一般的になっている電子決済サービスに、高架電車スカイトレインの乗車料金支払い用として2012年にスタートしている「ラビットカード」がある。利用できる飲食店やコンビニが拡大しているが、地下鉄では別の運営会社のため、このカードを使うことができない。ほかには高速道路で使用する、日本のETCのようなシステムも、コンビニなどで課金できるようになったものの、運営が違う道路では利用できない。
ラビットカード

タイで最も普及していると見られる「ラビットカード」。カードがポップすぎて大人向きではない点が残念

 日本の「Suica」のようにどこでも利用できるならいいが、タイはそういった連携がない。ただ、ラビットカードはタイでは「LINE Pay」と提携しているし、タイ政府が主導するのであれば、今後は各所で統一化される可能性はある。  タイ人は新しいものを受け入れやすい国民性を持ちながらも、損得に関係することは非常に保守的になる。そのため、電子決済システムも数年前に登場はしているが、目に見えて普及もしていない。使う人は使うが、使わない人は一切興味がないといったところか。  それでも時代が変わり、クレジットカードが普及しないままにネットショップが増えるなど、タイ国内でもEC市場が拡大しているため、タイ政府としては電子決済システムの導入は急務だ。国外に出るタイ人も増えてきており、仮想通貨も今後タイ人に注目されそうだ。タイも現金主義ではなくなり、中国のように物乞いだってQRコードを貼って歩く時代が来るかもしれない。 <取材・文・撮影/高田胤臣(Twitter ID:@NatureNENEAM)> たかだたねおみ●タイ在住のライター。6月17日に近著『バンコクアソビ』(イースト・プレス)が発売
(Twitter ID:@NatureNENEAM) たかだたねおみ●タイ在住のライター。最新刊に『亜細亜熱帯怪談』(高田胤臣著・丸山ゴンザレス監修・晶文社)がある。他に『バンコクアソビ』(イースト・プレス)など
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