”唯一神”・又吉イエス候補の元ボランティアスタッフが綴る、イエス氏の思い出

在りし日の又吉イエス氏(世界経済共同体党公式HPより)

「腹を切って死ぬべきである」 「地獄の火の中に投げ込むものである」  過激な語り口とは裏腹に物腰柔らかく真摯な対応をしてくれる、ちょっと変わり者の名物選挙おじいちゃん。多くの人が唯一神又吉イエス(本名:又吉光雄)氏に抱くイメージはこのようなものではないだろうか。  そんな又吉イエス氏に大きな注目が集まったのは今年6月30日、過去(2013年)にも騒動があった資金の枯渇ではなく、体調不良という理由で政治活動からの引退が発表されたためだ。  さらに、翌月の20日には左腎癌により死去していたことが世界経済共同体党ホームページにて発表されると、ニュースでも大きく取り上げられただけでなく、ライバルでもあり同志でもあった同じ泡沫候補からも続々と追悼コメントが出された。  1997年の宜野湾市長選挙より開始され、2017年の衆議院選挙まで続けられた唯一神又吉イエス氏の選挙活動は、一度も当確という日の目を見ることはなく、供託金を納め出馬するものの得票数が伸び悩みそのまま供託金が没収される、いわゆる泡沫候補活動に終始していた。だが、それでも話題や知名度を求める宣伝活動あるいは趣味という他泡沫候補者とは一線を画する姿勢を貫いていた。  実際に私が唯一神又吉イエス氏の元を訪ねたのも、彼が毎週土曜日に開催していた政治学習会への参加だ。  又吉イエス氏はいち早く資本主義の行き詰まり、既存経済政策が全く役に立たない社会の到来、日本が世界最速で飽和経済に突入するということを予見しており、ここまで人間も良くやって来たが、ここからは人間が対応できる問題ではない、ここからは神の領域、唯一神の仕事であるとして、あくまでも国政への参加だけを目指していた。 (※ いわゆる泡沫候補が乱立する東京都知事選に唯一神又吉イエス氏は出馬していない)  唯一神又吉イエス氏の出馬を巡っては供託金の出処を憶測するものも多いが、一部で知られている通り沖縄県に所有する土地に対し米軍からの地代が入ってくるというもの。  それでも潤沢という状況には程遠く、選挙資金捻出のため沖縄県内の土地を担保に銀行から借り入れを行おうとしても担保価値が認められず、最終的には唯一神自らが消費者金融にお金を借りに出向いている。  このような流れから選挙ではボランティアスタッフも全く足りていない状況のため、2010年の第22回参議院選挙・東京都選挙区には筆者も唯一神又吉イエス氏の選挙カー運転手として選挙戦をともに戦い抜いた。 「選挙戦」とは良く言ったもので、現場では実際に「戦」さながらに各候補陣営の対立や小競り合い、陣取り合戦が頻発するのだが、又吉イエス氏もまた期間中は常に臨戦態勢だった。  とにかく視界に入ったライバル候補者には「アンタが毎日死んでいる5万人以上を殺している!腹を切って死ね!」「責任追及をしている!アンタが死ね!」「媚売り選挙やめなさいよ!」と怒号を飛ばしていた。
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珍しく弱気だった、唯一神の姿
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