ラストワンマイルの労働環境を悪くする無駄な再配達。「置き配」サービス「OKIPPA」は解決できるか?

橋本愛喜

OKIPPAの置き配専用バッグ。専用の南京錠でドアに固定。素材は堅牢性があり、玄関先に出なくても荷物を安全に受け取ることができる

 ワンクリックで外出せずとも買い物ができる時代。しかし、こうした購入時の利便性が高まる反面、荷物の受け取り方法においては、その利便性が追いついていないのが、EC利用の現状だ。

 一方、ラストワンマイルの配送を担う配達員の労働環境は、EC普及による配達物の急増や再配達の常態化によって、依然、過酷の一途を辿っている。

 そんな中、配達側・受取側双方が抱えるこれら問題の解決の糸口を、「置き配」に見出したあるベンチャー企業のサービスが今、注目を浴びている。

「置き配」とは、配達員が受取人に会うことなく、届け荷物を玄関先や指定の位置に置いていく配達方法のことだ。

 日本には昔から、安全面や確実性、サービス性を重視した「対面配達」が原則であるという風潮があり、一部企業が行う自社商品の配送以外、「置き配」は配達側・受取側どちらからもなかなか支持されてこなかった。

 しかし、昨今の生活環境の多様化やECの普及によって、配達荷物は急増。それに伴い、再配達率も上昇し、各配達企業、これまでのような対面での配達方法では対応しきれなくなってきている。

 その打開策として、各配達大手企業やEC業界企業は、駅構内などの宅配ボックスや、コンビニ・郵便局での受け取りといった「対面」と「置き配」の中間的サービスの利用を推奨してきたが、受け取った場所から自宅までの運搬に自力を要する不便さが生じるゆえ、現在までには問題解決の決定打にはなっていない。

 それゆえ置き配は、現代の「スピード購入」に対応できる配達環境改善の最終手段として、昨今導入を検討する動きが本格化。日本郵便でも来春から同サービスをスタートさせると報じられ、話題になったばかりだ。

 そんな置き配の可能性にいち早く着目したのが、ベンチャー企業のYper株式会社だ。

 同社が開発したOKIPPAは、置き配バッグとスマートフォンアプリを使った物流システムで、配達側・受取側双方に大きな負担を強いることなく、かつ安全に置き配することができる。

 使い方はシンプルで、最大容量57リットルの専用の折り畳みバッグを玄関先に吊り下げておくだけで、不在時はもちろん、在宅中でも配達業者と対面せず、自分の都合のいいタイミングで玄関先の荷物が受け取れる。

 捺印も不要だ。撥水加工されたプリーツタイプのバッグなので、多少の雨天であればでも中の荷物は濡れず、引っ張るだけでかさばらずに畳める構造になっている。

 現在、配送業者6社(ヤマト運輸、日本郵便、佐川急便、西濃運輸、Amazonデリバリープロバイダー各社、Rakuten EXPRESS)に対応しており、各通販サイトで購入した商品の配送状況を一元管理することが可能。バッグへの配達が完了すると、アプリに通知される仕組みだ。

 また、通販サイトで購入した荷物以外の一般荷物などが再配達になった場合でも、OKIPPAアプリから再配達依頼が可能で、追跡番号を入れておくと同じく配送完了を通知してくれる。

 昨年から数度の実証実験を経て、来月中旬ごろからバッグの一般販売がスタート(税込3,980円+配送料一律360円)。今後、本格的に動き始めるOKIPPAだが、今年4月に資金調達サイトMakuakeで行われた先行販売では、目標額の20倍を超える600万円以上の集金に成功しており、世間からの期待度はすで実感済みだ。

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堅牢な専用バッグと、盗難補償で安全性を担保

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