8月29日、沖縄県知事選への出馬表明を行った玉城デニー氏
沖縄県知事選(9月13日告示・30日投開票)で、辺野古新基地反対派と推進派が激突する構図が確定した。自由党の玉城デニー幹事長(衆院沖縄3区)は8月29日、那覇市内のホテルで会見、立候補を正式に発表した。そして、翁長雄志前知事の遺志を引き継いで「辺野古新基地建設阻止を貫徹する」と明言し、米国との交渉で沖縄の民意を伝えることも強調したのだ。
会見冒頭で紹介したのは「ウチナンチューが心を一つにして戦う時には、想像するよりも遥かに大きな力になる」という翁長前知事の言葉。その知事の姿が玉城氏の背中を押したと切り出した。
「県民が心を一つにすることを深く望み、県民が持つ力を誰よりも信じ、揺らぐことのない自らの決意が県民とともにあることを、最後の瞬間まで命がけで発し続けた知事の強さ。その思いは、県民の胸の奥に確かに静かに刻まれています。
その知事の強さ、優しさ、沖縄への愛情はここにいる私の背中を押し、決意と覚悟をもたらしてくれていると感じています」
続いて玉城氏は、辺野古新基地を強行して翁長前知事と対決した安倍政権に批判の矛先を向けた。
「県の再三の指導にも従わず、既成事実を積み上げることで県民の諦めを狙い、一方では基地と沖縄振興を敢えて絡ませて揺さぶり、県民の中に対立と分断を持ち込もうとします。
法令解釈を都合良く変えて手続きを踏み倒す国のやり方は、法治国家といえるのでしょうか。故郷の海を守ろうと声を上げる人々を実力で排除するやり方は民主主義の姿なのでしょうか」
前知事の意志を引き継ぎ、辺野古新基地建設阻止を貫徹する
玉城氏が翁長前知事の“功績”として紹介したのが、全国の世論調査で辺野古建設不支持が44%で支持を上回ったことについてだ。
「保守政治家であった翁長知事が自ら先頭に立って、沖縄の過重な基地負担の在り様を国民に問い、全国知事会で日米地位協定の不平等を知らせました。
『この先、何十年もこれでいいのか』『主権国家としてこれで良いのか』と発信し続けたことで、やっと浸透し始めたのではないかと思います。
(安倍)政権の冷ややかな仕打ちに直面しようともたじろがず、ウチナンチューの誇りを持って望んだ知事の勇気と行動が、少しずつ少しずつ国民の関心を呼び覚ましているのです。
数の力を頼みにした、そんな政権の手法が次第に綻びつつあることを、国民、有権者は気づき始めています。今回の世論調査に、その意識の現われを共感として私たちも感じ取ることができます。
その中において知事の最たる意志であり、手続きの中にある埋め立て承認の撤回を、玉城デニーは全面的に支持をして参ります。私はしっかりと翁長知事の意志を引き継ぎ、辺野古新基地建設阻止を貫徹する立場であることをここに表明いたします」
最後に玉城氏は、これまでの「翁長カラー」に「デニーカラー」をプラスしていくと言いながら、こう結んだ。
「このかけがえのない島の未来を、誰でもなく自分たちの手で作り出していく。生まれてくる子供たち、明日を担う若者たちに平和で真に豊かな沖縄、誇りある沖縄、新時代沖縄を託せるよう、私、玉城デニーは全力疾走で頑張ります。ありがとうございました」