キューバ最大の外貨獲得源「医師・看護師派遣」の闇が問題化

「医師を搾取する奴隷制度だった」

 マリア・エウヘニア・ラゴマシノさんの場合、彼女は2007年から2011年までベネズエラで派遣医師として働き、その後ブラジルに派遣された。そこで2013年から2015年まで働いたそうだ。その後は、他の多くの仲間と同様に米国で生活するようになったという訳である。  彼女は、「私は外国に出た時に初めて物事を明確に見ることができるようになった。(キューバを出国する前に)言われていたことが全て偽りであったことに気づいた。(政府が)約束したことは守られず、権力をふるって人間性とは程遠いものだった」と語っている。  メルセーデス・ウイリアムズさんの場合は、ベネズエラを脱出してコロンビアに入国。米国大使館に出頭して米国に入国できる許可書を入手。それ以後、彼女の両親と再会できることはなかったそうだ。最初に母親が亡くなり、今年父親が亡くなった。帰国の許可が下りないから生前中の両親に会えなかったのである。彼女は「ミッションから離れたのは、医師を搾取するやり方は正に奴隷制度だったからだ。私はあそこ(ベネズエラ)では奴隷になったように感じていた」と語っている。そして愛する人たちに会うことができないことに心が傷むと表明。また、彼女はキューバでは法律や規定が大衆の前に公表されることはないと指摘している。  ギッセル・ヘレラさんの場合は、ある日曜日が勤務日ではなかったので上司の許可なくミランダ市からカラカス市へ行ったが、許可なく行動したとして他の仲間の前で上司から厳しく叱責されたという。そのあと上司からセクハラの被害を受けたそうだ。そのようなこともあって現在マイアミに移住した。彼女は、キューバでは絶対に見つけることのできない未来を米国で見つけたと語っている。(参照:「Cubanet」)

キューバ人医師らは国際司法裁判所に提訴

 昨年11月に彼らはキューバ政府が権利の侵害をしたとして告発し、それを国際司法裁判所に提訴している。同様に、ワシントンの人権委員会、フランシスコ法王、米州機構、国連などにもこの問題を提起したそうだ。そこには、我々はキューバ政府によって現代の奴隷制度の対象にされ、逃亡者と見做されて我々の家族とも8年間も会えない罪を着せられ、キューバで支払われる給与も剥奪されたと言った内容が記されているとしている。(参照:「Infobae」)  オバマ前大統領がキューバと国交正常化を果たした時に、それに先陣を切って反対したのはキューバ人2世のマルコ・ルビオ上院議員であった。彼の反対の理由はキューバは独裁政治が続いており民主政治が確立されていないからだとしている。  米国に移住したキューバ人医師らがキューバ政府に抗議しているのは、正にルビオ議員が指摘している一面から垣間見ることができる。 <文/白石和幸> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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