ソニー株は、昨年4月から10月中旬まで4000円を挟んで上下500円のレンジ(幅)の中で推移していました。10月下旬に「ソニー2018年3月期決算、20年ぶりの過去最高益」のニュースが流れると、株価は急騰しました。
それから2018年7月初めごろまで変動レンジは一気に5000~5500円まで跳ね上がりました。この1か月のソニーの株価は業績向上が買われ、さらに6000円を挟んで推移しています。さらに変動レンジが嵩上げされたのかもしれません。
つい数か月前なら5500円で高値売りすれば、十分な差益が得られました。しかしレンジが6000円前後に嵩上げされたのなら、5500円は安値買いのチャンスになるかもしれません。この見極めが株取引の醍醐味です。慌てず、嵩上げが本物か一時的なものかをしっかり見極めることです。
ソニーのケースは一つの例です。他の銘柄についても今後の業績次第で株価変動のレンジが変わる場合は珍しくありません。レンジが下がってくればどこかで業績悪化の兆候があるのかも知れません。逆にレンジが上がれば業績好調の兆しかも知れません。株は生き物、あくまで微妙な変化を見失わず、慎重な対応を心がけてください。
◆石橋叩きのネット株投資術第12回
<文/三橋規宏>
みつはしただひろ●1940年生まれ。1964年慶応義塾大学経済学部卒、日本経済新聞社入社。ロンドン支局長、日経ビジネス編集長、科学技術部長、論説副主幹、千葉商科大学教授、同大学名誉教授、環境を考える経済人の会21事務局長等を歴任。主著は
『新・日本経済入門』(日本経済新聞出版社)、
『ゼミナール日本経済入門』(同)、
『環境経済入門』(日経文庫)、
『環境再生と日本経済』(岩波新書)、
『サッチャリズム』(中央公論社)、
『サステナビリティ経営』(講談社)など。