短時間であればあるほど価値が上がる。「シェアード社員」ってなんだ!?

山口博

業務を切り分ければシェアリングしやすくなる

須田:業務の内容を明定し、小さい単位に切り分けていけば、その単位で別の人が肩代わりしやすくなり、複数名体制に近づくことができます。  ユナイトアンドグロウは、企業の情報システム部門の業務支援サービスを提供しています。そのサービスをいわばタイムシェア方式で、代替可能な社員の組み合わせで提供しているのです。ITコンサルタントも、エンジニアも、プロジェクトマネジャーも、サービスデスクの担当者も、タイムシェア方式で稼働しています。一人平均2.5社、多い人は5〜10社を、チームを組んで対応します。これを「シェアード社員」と言っています。

ユナイトアンドグロウ株式会社代表取締役社長 須田 騎一朗氏

山口:そもそも、シェアード社員の考え方はどこから生まれたのですか。 須田:私たちは中堅・中小の成長企業だけを顧客と定めています。事業開始当初、クライアント企業から毎日午後だけ来て欲しいとか、高すぎるから週3日に減らしてほしいとか言われました。その一方で、クライアント企業に入れ込み過ぎて体調を崩し、しばらく待機せざるを得ない人も出て、結局、時間という在庫が余って赤字が続いてしまうという時期が続きました。  これをなんとか解決したいと考えた時、ひとりの社員をひとつのクライアントに固定して考えるからこの問題がおきるということに行き着いて、自然発生的にシェアード社員のしくみが生まれたのです。

短時間労働であればあるほど価値が上がる

山口:しかし、人の心理として、その会社のことがわかってきてパフォーマンスが上がるようになればなるほど、その会社へもっとサービスを提供したい、その一社に貢献したいという人もいるのではないでしょうか。 須田:そこで、仕組みとして、短時間のサービス提供のほうが時間当たり単価が高くなるモデルとすることにしたわけです。1か月で160時間サービスを提供した場合の時間当たり単価を1とします。例えばA社1社にサービスを提供した場合、160時間×1で160の価格になります。 一方、月あたり100時間サービスを提供した場合の単価が1.2、50時間サービス提供した場合を1.3とします。A社に100時間サービス提供した場合、1.2×100時間で120の価格になります。残りの50時間をB社に提供した場合、1.3×50時間で価格は65です。A社とB社合わせると185。売上が増えました。しかし実労働時間は10時間減って150時間です。残り10時間は学習や移動、社内人脈づくりに宛てます。 ユナイトアンドグロウの社員は、「時間を削減しつつ同じ成果を上げられないか?」常に考えています。削減した時間を別の企業に提供してマルチクライアントを実現すると、売上が増えて個人のボーナスも増えます。 それだけでなく、企業Aでの経験を企業Bにリアルタイムで提供できると、喜ばれますし楽しいのです。もちろん、企業秘密は厳重に管理します。 顧客からみても、同じサービスのために160支払うより100支払うほうがコスト削減になります。本人・顧客・当社の三者でプラスになる仕組みなのです。 山口:「生産性を上げよう」といくらスローガンを掲げても、「休みをとろう」と掛け声をかけても、働き方改革は実現できないけれども、短時間の仕事をした方が価値が上がるという仕組みを走らせることで、何も言わなくても時短をしようというモチベーションが働き、生産性が上がるという実例だと思います。  「いつ休みをとってください」「何日休みをとりましたか」と押し付けたり、管理したりすればするほど、逆効果ということでしょう。 ところで、ユナイトアンドグロウの社員の方々は、しっかり休みをとれているのですか。 須田: 私は細かく把握していませんが、社員に聞くと、とれていると答えてくれています。 山口:まさに、「管理しない経営」の社長の言ですね(笑)。 須田:人事総務では細かく数値管理をしていますので念のため。
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