「リフレ政策の隠された目的は財政ファイナンス」藤沢数希氏
12月5日には一時1ドル=121円を超え、円安が加速した。もしさらに円安が進展し、急激なインフレ、あるいはハイパーインフレが起こったらどうなるのか。実は資産を持たない人にとっては、財政破綻も案外悪い話じゃない?
安倍首相はアベノミクスの是非を問うために衆議院を解散した。この原稿を書いている時点(※12/10現在)ではまだ選挙の結果は出ていないが、自民党が圧勝することになりそうだ。アベノミクスとは簡単に言えば、日銀がお金を刷りまくって、景気をよくしようという政策だ。超金融緩和により、長年続いたデフレから脱却することを目指している。
しかし、こうしたいわゆるリフレ政策に関する議論は、素人にはなんともわかりにくい。反対する専門家は、ハイパーインフレになると言ったり、それぐらいではデフレは脱却できないと言ったりして、反対するにも真逆のことを言ったりするし、賛成派もこれだけ金融緩和しても物価自体は上がっていないことは認めている。
実はリフレ政策の本質はデフレ脱却ではない。隠された目的は、財政ファイナンスである。膨れ上がる政府の借金を、中央銀行がお金を刷って国債を大量に買い取ることで返済するのだ。現代のお金は不換紙幣といって何とも交換できず、どこまでいっても紙切れで、政府の信用のみが拠りどころだ。
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日本円の信頼が保たれているのは、さすがにそんなことはしないだろうと市場が思っているからだ。本当にインフレが始まれば、日銀は国債を売って(お金を回収して)金融を引き締めるだろう、と。
ところで政府はいったい誰からお金を借りているのか? 国債を買っているのは民間の金融機関なのだから、政府は民間の金融機関からお金を借りていることになる。
しかし、金融機関にお金を貸しているのは、預金などでお金を蓄えている日本の高齢者なのだから、日本国政府は、お金持ちの高齢者からお金を借りて、それを医療費などで高齢者全体にばら撒いている、という構図になる。
消費税などを引き上げ、借金をこれ以上増やさないことに成功すれば、現役の労働者がせっせと税金を払って、政府の借金を返していくことになるだろう。
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【藤沢数希氏】
欧米の研究機関にて博士号を取得。その後、外資系投資銀行に転身。ブログ「金融日記」管理人。恋愛工学メルマガも発行する。cakesでは恋愛小説も連載中
1000兆円を超える日本国政府の借金はいったい誰が返すのか?財政破綻も悪くない!?(人気ブログ「金融日記」管理人 藤沢数希氏)
『外資系金融の終わり』 それでも明るい金融の未来 |
この特集の次回記事
2014.12.21
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