「安倍三選に大義名分はない」自民党の重鎮、村上誠一郎議員が斬る
『月刊日本』9月号では、そんな自民党の現状を前に、自民党OBや現職、かつての野党議員の重鎮が「これでいいのか、自民党!」と叱咤の声を挙げている。
今回はその中から、自民党の重鎮として知られる村上誠一郎議員の声を紹介したい。
──安倍首相の党総裁三選の流れが出来つつあります。
村上誠一郎議員(以下、村上):私は、安倍三選に大義名分はないと思います。本来国家の指導者は国民全体に模範を示さなければならない立場にあります。ところが、安倍さんは日本中に非常に悪い見本を示していると思います。
森友、加計学園問題、南スーダンとイラクの自衛隊の日報隠し、働き方改革法案の杜撰なデータ問題。いずれも、安倍さんが起点となって、安倍さんの側近や親しい友人が引き起こした不祥事です。安倍さんは、道義的・政治的責任が問われているのです。ところが、安倍さんにはその自覚もないし、反省もありません。
これらの不祥事によって、財務省、文科省、防衛省、厚労省の信用は失墜しました。これだけ多くの問題が顕在化したにもかかわらず、行政の長である安倍さんは一切責任をとっていません。不祥事を起こしても、ごまかし、役人にだけ責任をとらせてやり過ごす。それが罷り通っているのです。
政が乱れれば、世の中全体が乱れます。政界や官界だけではなく、社会のどこを見ても乱れ切っています。経済界を見れば、日産やスバル等の無資格検査、東レのデータ改ざん、東芝の粉飾決算など、日本を代表する企業の不祥事が次々と明るみに出てきています。
スポーツ界を見れば、日大アメフト部のタックル事件、日本ボクシング協会の問題など、スポーツマン精神に悖る事件が次々と噴出しています。大阪の高校ハンドボール予選大会では、相手チームのエースを「ひじ鉄」でつぶして、国体行きを決めたことが不問に付されています。いまや、日本の道義は完全に地に堕ちてしまったのです。日本全体がモラルハザードに陥っています。国民に範を示すべき指導者が、悪い見本しか示していないからではないでしょうか。
安倍さんは、行政の長としての責任を問われているだけではありません。安倍政権の政策を見ても、アベノミクスは賞味期限が切れ、外交も行き詰っています。もはや安倍政権に存続理由はどこにもありません。にもかかわらず、安倍さんは三選を目指しています。どこに大義があるのでしょうか。
──自民党国会議員の多数は、安倍総理を支持しています。
村上:安倍三選は異常事態です。これにストップをかけないで、政治家として責任を果たしていると言えるでしょうか。
本来、国会議員は総理、県会議員は知事、市会議員は市長をチェックすることが重要な仕事です。ところが今や、上から下まで、議員たちは総理、知事、市長の寵愛を受けるために忖度しているように見えます。
国会議員の使命は、安倍さんに忠誠を誓うのではなく、国家と国民に忠誠を誓うことです。ところが、自民党議員の多くが安倍さんに忠誠を誓うことが自分の役割だと思っているように見えます。
「安倍3選」が最大の争点となる自民党総裁選が近づいている。
安倍政権の5年間で、国民の多くが反対する法案の強行採決が繰り返され、虚偽や誤魔化しが横行し、公文書が改ざん・隠蔽され、議会制民主主義は完膚なきまでに蹂躙された。
しかし、今の自民党内には、これらのことについてまるで無批判。自民党内の大勢は「安倍3選」追認に流れている。このままでは日本の議会制民主主義は崩壊し、日本そのものの衰退に繋がるのは間違いない。
保守系月刊誌安倍さんは日本中に非常に悪い見本を示している
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