安倍首相や閣僚の答弁は「赤信号だらけ」。一介の会社員が「信号無視話法」を思いついたワケ

全く関係ない話、質問内容の繰り返しを色分け

犬飼:質問と全く関係ない話をする、質問内容を繰り返す、等のルール違反を繰り返す答弁をそう名付けました。 「信号無視話法」という名前をつけたことには明確な意図があリます。すでに上西充子先生の「ご飯論法」(参照:『「朝ごはんは食べたか」→「ご飯は食べてません(パンは食べたけど)」のような、加藤厚労大臣のかわし方)』)が新聞記事になり注目を集め、国会での不誠実答弁がやりづらくなったことを目の当たりにしていたので、「名前をつける」ことが不誠実答弁を防ぐことに繋がると考えたからです。

犬飼淳氏のnoteより

 私が最もアプローチしたいと考えている「政治に関心のない人たち」が長い国会答弁を読むことはありえません。そのため、パッと見ただけで内容を理解できるように一定の配色ルールに従った色分けが有効だろうと考えたのです。  そこで、以下2つの条件を満たす色の組み合わせを探しました。 ・質問と関係ない内容、質問内容の繰り返し、質問に対する回答の3つを色分けしたいので、最低でも3色は必要 ・説明なしでも日本人が直感的にその3色の意味を理解できる  この条件を満たす色の組み合わせは、私が知る限り、信号機の赤黄青しかありません。赤はダメ、黄は要注意、青はOK。老若男女だれもが知っています。しかも、海外でも通用するので、いずれ海外に向けて発信することになっても、そのまま使えます。  実は、配色にはもう1つ案がありました。  それはサッカーのレッドカード、イエローカードです。赤は1発退場、黄色は2回で退場になるくらい悪いこと、という概念がピッタリだし、ちょうどロシアワールドカップ直前の時期でサッカーへの感心も高まっていたし、政治に関心はないけどサッカーには興味がある人たちに伝わりやすい点も魅力的でした。しかし、重大な問題があって、この概念は2色しかないので、回答にあてる3色目の色が無かったのです。そのため、泣く泣くボツにしました。  もしサッカーにフェアプレーやファインプレーに特定の色のカードを出して褒め称えるという謎のルールがあれば、間違いなくサッカーの配色を採用していたと思います。 ――発表後は物凄い反響でしたね。 犬飼:はい。5月31日にパイロット版のような形で部分的に公開した信号無視話法のnote記事は大変な反響を呼び、立憲民主党の公式、東京新聞・望月衣塑子記者、タレントの松尾貴史さん、などの著名人にも拡散して頂き、note記事の閲覧数も7万PVほどになりました。また、朝日新聞さんには信号無視話法と私の視覚化による情報発信の取り組みを記事にして頂きています。(参照:『「信号無視」のモリカケ答弁』朝日新聞デジタル6月18日)  そして、7月20日の枝野代表の2時間43分に及んだ国会での大演説では、不誠実答弁の一例として、信号無視話法を引用して頂き、ついに国会デビューも果たしました。(引用元:「枝野代表演説文字起こし」) ――他にも、平成30年7月豪雨時の安倍政権の災害対応について、首相動静と気象庁発表、被害状況をタイムテーブルで並べ、「空白の66時間」を視覚化した記事も見事でした。

犬飼淳氏のnoteより

犬飼:ありがとうございます。ただ、すでに国会は閉会したので、今後どのような活動をするかは試行錯誤しています。今後も「政治に無関心な層」に政治に関心を持ってもらうことを目的に、パッと見て分かるような「視覚化」に取り組んでいくつもりです。 【犬飼淳氏】 サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」や、7月豪雨時の官邸の対応の遅れについて可視化した「空白の66時間」がSNSで話題に。編集部とは「信号無視話法」の記事のときに当サイトの書き起こしを転載したことが縁でやり取りをすることになった。犬飼淳氏のnote(https://note.mu/jun21101016)、TwitterIDは@jun21101016
TwitterID/@jun21101016 いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。noteのサークルでは読者からのフィードバックや分析のリクエストを受け付け、読者との交流を図っている。また、日英仏3ヶ国語のYouTubeチャンネル(日本語版/ 英語版/ 仏語版)で国会答弁の視覚化を全世界に発信している。
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緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説「安倍政権が不信任に足る7つの理由」

不信任案決議の趣旨説明演説をおこなったのが、衆院で野党第一党を占める立憲民主党の代表・枝野幸男議員である。この演説は、その正確さ、その鋭さ、そして格調の高さ、どれをとっても近年の憲政史にのこる名演説といってよいものだ。

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