海外のファンからも認められる日本産作品が生まれるいっぽうで、こちらも期待したいのが、ハリウッドの実写版だ。前頁で紹介したとおり、これまで成功を収めた作品は皆無だが、果たしてその歴史に終止符が打たれるか。先月、サンディエゴで開催されたコミック・インターナショナル(コミコン)では、カルトSF漫画『銃夢』の実写版予告編が公開され、大きな話題を呼んだ。
『アリータ: バトル・エンジェル』というタイトルになった同作は、『アバター』(’09年)や『タイタニック』(’97年)で知られるジェームズ・キャメロンが製作・脚本、『デスペラード』(’95年)や『シン・シティ』(’05年)のロバート・ロドリゲスが監督を務めている。
キャストにもクリストフ・ヴァルツやジェニファー・コネリーといったアカデミー賞受賞経験のある名前が並び、期待値はかなり高そう。『
ヴァラエティ』が伝えるところによると、「我々は一本の映画に集中しているが、今作は多くの可能性に満ちている」と製作陣はすでに続編も臭わせているようだ。
しかし、2億ドル(約223億円)とも言われる巨額の製作費をかけたにも関わらず、ファンからの反応はかんばしくない。予告編公開を報じるサイトのコメント欄や、SNSには以下のような声が。
「見てみろ。漫画とかアニメの実写版はこうやって作るんだ(笑)」
一見すると褒めているようにも見えるが、コメントの語尾にはLol(laugh out loud)、日本語でいうところの「(笑)」がついていた。もっとも多かったのは、CGで作られたヒロインの見た目を揶揄するコメントだ。
「う~ん、彼女の大きな目はちょっと気味が悪いね」
「いくら漫画だからって、実写でも目を以上に大きくする必要はないだろ」
日本でも12月に公開される本作。こういった評判を見ると不安が高まるが、ファンの心をつかむことはできるか? 近年はインド映画なども北米の興収ランキングで上位に入る回数が増えている。固定ファンのいる漫画作品ならば付け入る隙はありそうだが、それにはあえて日本人スタッフで挑むべきなのかもしれない。
<取材・文・訳/林泰人>