捜査によると、このグループは5人のスペイン人、2人のコロンビア人、一人のアルゼンチン人によって構成されていて、2014年から偽造ワインの販売を開始。これまで1500本以上の偽造ワインを販売していたという。
アンダルシアのマラガ市に偽造ワインの倉庫があり、ガリシア地方のラ・コリューニャ市内で偽造ラベルが印刷されていたという。マラガ県の高級リゾート地マルベーリャ市のホテルでも販売されていたそうだ。そしてマドリードが活動の拠点になっていた。(参照:「
El Pais」)
更に驚愕させられるのは、この犯罪のリーダーはラ・コリューニャ県セルセダ市内にある著名なレストラン「ドン・アレックス(Don Alex)」のオーナーだったということである。このレストランには顧客リストというのがあり、このレストランで食事をするにはこのリストに掲載されている顧客だけに限定されるほどの高級店だ。
このレストランのワインメニューは膨大な数のワインが掲載されていることでも良く知られていたという。(参照:「
ABC」)
フランスやイタリアと同様にスペインでもワインに纏わることは一つのステータスとなっている。だから今回のような詐欺事件が発生するのである。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。